墓地埋葬法(墓埋法)とは|改葬・墓じまいに関わる条文の要点

大久保亮佑

執筆・編集: 大久保亮佑株式会社Kogera代表生前整理アドバイザー2級

更新日: 2026年9月8日

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墓地埋葬法(墓埋法)とは|改葬は第5条で市町村長の許可制。管理者の証明を必要書類に挙げる自治体は実査146件中118件

墓地埋葬法(正式には「墓地、埋葬等に関する法律」。略して墓埋法)は、遺骨を埋める・焼く・移すことに市町村長の許可を求め、墓地や納骨堂の管理者に義務を課す、昭和23年の法律です。墓じまいで「改葬許可証が要る」と言われる根拠は、この法律の第5条と第8条にあります。

条文そのものは全22条と短く、細かな書類は施行規則が定めています。一方で手数料や交付までの日数は法律に書かれておらず、自治体ごとの運用です。当サイトが公式サイトを実査した149自治体(45都道府県)では、手数料の記載がない自治体が96件(約64%)ありました。この記事では、法律が決めていることと決めていないことを分けて読み解きます。

この記事の要点(条文は e-Gov で2026年9月8日に確認)

法律の名前墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)。略称は墓地埋葬法・墓埋法(ぼまいほう)。本則は全22条
改葬に関わる条文第2条(改葬の定義)・第5条(市町村長の許可)・第8条(許可証の交付)・第14条(許可証を受理した後でなければ納骨させてはならない)・第21条(罰則)
施行規則が決めること申請書の記載事項7項目と添付書類3種(第2条)、無縁墳墓の追加書類(第3条)、許可証の様式(第4条)、分骨の証明(第5条)
自治体の運用(実査)管理者の証明を必要書類に挙げる自治体 118件(記載を確認できた146件中・約81%)/証明の代替手段を案内 51件/無縁墳墓の書類を案内 4
法律に書かれていないこと手数料(無料と明記 44件・有料 9件・記載なし 96件)、交付までの日数(記載あり 45件)、受入証明書、離檀料

墓地埋葬法とは何か(名前・目的・構成)

正式名称は「墓地、埋葬等に関する法律」。昭和23年(1948年)5月31日に公布された法律第48号で、e-Gov法令検索には略称「墓地埋葬法」で登録されています。さらに縮めた「墓埋法」は、一般に「ぼまいほう」と読まれています。どの呼び方でも指す法律は同じです。

目的は第1条にあります。原文はこうです。「この法律は、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。」宗教的感情と公衆衛生。この2つが、以下すべての条文を貫く物差しになっています。

本則は全22条。構成をごく大まかに分けると、①言葉の定義(第2条)、②埋葬・火葬・改葬を行う人への規制(第3条〜第9条)、③墓地・納骨堂・火葬場を経営・管理する側への規制(第10条〜第19条)、④罰則(第20条〜第22条)です。墓じまいをする家族に直接関わるのは②と、③のうち管理者の義務を定めた部分です。細かな書類や様式は、法律の委任を受けた「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」(厚生省令)が定めています。

第2条の定義:埋葬・火葬・改葬・墓地・納骨堂

条文を読むうえで先に押さえたいのが、日常語とずれる定義です。第2条は7つの言葉を定めています。

  • 埋葬……「死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ること」(第1項)。つまり土葬です。火葬したお骨を墓に納めることは、法律上は「埋葬」ではなく「焼骨の埋蔵」と呼びます。土葬した遺体を別のお墓へ移すときも改葬に当たり、納める前に火葬場での火葬が加わります。土葬骨の改葬に火葬が加わる理由は条文とあわせて別記事で追っています。
  • 火葬……「死体を葬るために、これを焼くこと」(第2項)。
  • 改葬……「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」(第3項)。墓じまいで遺骨を別の場所へ移す行為が、これに当たります。
  • 墳墓……「死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設」(第4項)。個々のお墓のことです。
  • 墓地……「墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域」(第5項)。
  • 納骨堂……「他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設」(第6項)。納骨堂に納めることは「収蔵」です。
  • 火葬場……「火葬を行うために、火葬場として都道府県知事の許可をうけた施設」(第7項)。

この定義から分かることが2つあります。ひとつは、改葬とは「墳墓または納骨堂から、他の墳墓または納骨堂へ」移すことだという点。墓石を撤去する工事そのものは、法律上の改葬に含まれません。撤去は墓地の管理者との契約上の手続きです。もうひとつは、「他の墳墓」への移動が改葬だという点。当サイトの実査では、江戸川区・文京区が「同一墓地内での移転(墓石の改修を除く)でも改葬許可が必要」と公式に案内していました。同じ霊園の中で区画を移す場合も、許可の対象になりうるということです。自宅の遺骨・散骨・同一墓地内など、場面ごとに許可が要るかどうかは改葬許可は必要?不要?で分けて判定しています。改葬と墓じまいの言葉の違いは改葬とはで整理しています。

第5条・第8条:改葬は市町村長の許可制

墓じまいの手続きの根拠は、第5条第1項の一文です。

埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。

誰の許可か、は第2項が決めています。改葬については「死体又は焼骨の現に存する地の市町村長」。いまお墓がある市区町村です。移す先の自治体でも、申請する人の住所地でもありません。遠方のお墓を改葬するなら、申請先は遠方の自治体になります。だから郵送やオンラインの申請が問題になるわけで、その実情は郵送での申請オンラインでの申請にまとめました。

許可が出ると、第8条により市町村長は「埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を交付しなければならない」。この改葬許可証を、新しい納骨先の管理者に渡します。管理者側の義務は第14条にあり、墓地の管理者は許可証を「受理した後でなければ、埋葬又は焼骨の埋蔵をさせてはならない」、納骨堂の管理者も「受理した後でなければ、焼骨を収蔵してはならない」と定められています。許可証がなければ、受け入れる側が受け入れられない。これが改葬許可証の効き目です。書類としての改葬許可証の詳細は改葬許可証とはをご覧ください。

申請の方法について、厚生労働省は2025年3月のQ&Aで、改葬許可申請を情報通信技術を活用した方法(オンライン)で行えることを示しています。受け付けるかどうかは自治体の判断です。

施行規則:申請書の7項目・添付書類・無縁墳墓・様式

法律が「省令で定めるところにより」と委ねた中身が、施行規則です。改葬に関わるのは第2条から第5条まで。

第2条第1項は、改葬許可申請書に書く7項目を定めています。死亡者の本籍・住所・氏名・性別、死亡年月日、埋葬又は火葬の場所、埋葬又は火葬の年月日、改葬の理由、改葬の場所、申請者の住所・氏名・死亡者との続柄・墓地使用者等との関係。全国どの自治体の様式でも、この7項目は共通です。項目ごとの書き方は改葬許可申請書の書き方で整理しています。

第2条第2項が添付書類です。3つあります。1つめは「墓地又は納骨堂(以下「墓地等」という。)の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面」。いわゆる埋蔵証明書です。ここには括弧書きがあり、「これにより難い特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面」でもよいとされています。管理者が分からない、管理者から証明がもらえない、という場面の受け皿は、条文のこの一文にあります。2つめは、申請者が墓地使用者等でない場合の「墓地使用者等の改葬についての承諾書」(または、これに対抗できる裁判の謄本等)。3つめは「その他市町村長が特に必要と認める書類」です。

当サイトの実査では、必要書類の記載を確認できた146自治体のうち、管理者の証明を挙げていたのが118件(約81%)。承諾書類が88件、改葬先に関する書類(受入証明書など。法令に名前はなく、3つめの「特に必要と認める書類」として求められるもの)が58件でした。括弧書きの「準ずる書面」については、51自治体が公式サイトに代替手段(様式は問わない、公営墓地なら使用許可証で足りる、管理者不明の墓地は地図で代替、など)を載せていました。実例は必要書類の一覧の「埋蔵証明が取れないときの代替」にまとめています。挙がっていない自治体で同じ扱いになるとは限りません。

第3条は、縁故者のいないお墓(無縁墳墓等)の改葬です。通常の書類に加えて、無縁墳墓等の写真と位置図、官報に掲載しかつ立札に1年間掲示して公告し、その期間中に申出がなかった旨を記載した書面、官報の写しと立札の写真が要ります。官報の部分は2025年4月1日施行の官報発行法にあわせて改められ、電磁的官報記録を記載した書面の写しでもよいことになりました。実査では4自治体(八王子市・高知市・三鷹市・山形市)が、この追加書類を公式に案内していました。通知を受け取った側の流れは無縁墓の通知が届いたらをご覧ください。

第4条は許可証の様式です。改葬許可証は「別記様式第三号」と決まっています。この様式は2026年4月1日施行の改正で改められ、附則の経過措置により、施行時にすでに使われていた旧様式の書類は改正後の様式によるものとみなされます。第5条は分骨で、管理者は「焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者の請求があつたときは、その焼骨の埋蔵又は収蔵の事実を証する書類を、これに交付しなければならない」。分骨は市町村長の許可ではなく管理者の証明で進む、という違いがここから出てきます。詳しくは分骨の手続きへ。

第12条〜第17条:墓地・納骨堂の管理者の義務

法律の後半は、寺院・霊園・自治体といった管理者側への規制です。墓じまいをする家族にとっては「相手に何が義務づけられているか」を知る材料になります。

  • 第12条……墓地・納骨堂・火葬場の経営者は管理者を置き、その本籍・住所・氏名を所在地の市町村長に届け出なければならない。
  • 第13条……管理者は「埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない」。受け入れの求めを拒めない規定です。改葬のための証明を出す義務を直接定めた条文ではない点は、読み違えないようにしてください。
  • 第14条……許可証を受理した後でなければ埋葬・埋蔵・収蔵・火葬をさせてはならない(前述)。
  • 第15条……管理者は図面・帳簿・書類等を備え、墓地使用者や「その他死者に関係ある者の請求があつたときは」その閲覧を拒んではならない。帳簿に何を書くかは施行規則第7条が定めていて、墓地使用者等の住所・氏名、死亡者の情報、埋葬・埋蔵・収蔵の年月日、改葬の許可を受けた者の情報と改葬の場所・年月日が含まれます。
  • 第16条……管理者は受理した許可証を「受理した日から、五箇年間これを保存しなければならない」。火葬場は火葬を行ったとき火葬許可証に必要事項を記入して返す(この火葬済みの火葬許可証が、実務で埋葬許可証と呼ばれる書類です。埋葬許可証とは参照)。
  • 第17条……墓地・火葬場の管理者は、毎月5日までに前月の埋葬・火葬の状況を市町村長に報告する。

離檀や離檀料は、この法律のどこにも出てきません。第13条が定めるのは受け入れを拒めないことであって、檀家をやめる際の金銭は宗教法人と檀家の関係の問題です。法律上の相場も存在しません。この点は離檀料の相場はいくら?で扱っています。

第20条・第21条:罰則

2026年9月8日に e-Gov で確認した条文では、第21条は「次の各号のいずれかに該当する者は、二万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」とし、第1号に「第三条、第四条、第五条第一項又は第十二条から第十七条までの規定に違反した者」を挙げています。許可を受けずに改葬すること(第5条第1項違反)、墓地以外の区域に埋葬・埋蔵すること(第4条違反)、管理者が許可証なしに納骨させること(第14条違反)は、いずれもここに含まれます。第20条は墓地経営の無許可(第10条違反)などを対象に「六月以下の拘禁刑又は二万円以下の罰金」を定めています。

罰則があるから急ぐ、という読み方はしないでください。この法律は「墓じまいをしないこと」を罰していません。お墓をそのまま維持することは何の違反でもなく、放置した場合に何が起きるかは墓じまいをしないとどうなる?で別に整理しています。罰則が関わるのは、遺骨を動かすときに許可を飛ばす、という一点です。

法律に書かれていないこと(自治体の運用になる項目)

条文を最後まで読むと、墓じまいで気になる項目の多くが「書かれていない」ことに気づきます。書かれていない項目は、自治体の条例や運用、あるいは墓地の管理者との契約で決まります。当サイトの実査データで、その広がりを示します。

  • 改葬許可証の手数料……法律にも施行規則にも金額の定めはなく、各自治体の手数料条例によります。実査149自治体では「無料」と明記44件、有料9件(300円〜600円)、公式サイトに記載なし96件。詳しくは改葬許可証の費用へ。
  • 交付までの日数……定めなし。記載があったのは45件で、即日交付相当15件、1週間以上17件と幅があります。
  • 受入証明書……法令に名前はなく、「市町村長が特に必要と認める書類」として求める自治体があります(実査で58件)。
  • 自宅での保管・手元供養・散骨……第4条は「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」と定めますが、遺骨を自宅に置くことや散骨そのものを直接規定した条文はありません。自治体の案内も一様ではなく、実査では4自治体(福岡市・静岡市・尼崎市・中央区)が改葬許可の案内ページでこの点に触れていました。当サイトはここで法律の解釈を示さず、確認できた案内の実例だけを載せています。散骨は散骨は違法?で、厚労省ガイドラインと自治体条例を一次情報で整理しています。
  • 離檀料・墓石の撤去費用……法律の対象外。宗教法人との関係と、石材店との契約の問題です。

つまり墓地埋葬法は、「誰が、どこに、何を出して、誰の許可を得るか」の骨組みだけを決めた法律です。肉づけは自治体ごとに違います。条文を読んだあとにすることは、いまお墓がある自治体の案内を読むことです。

よくある質問

条文は e-Gov 法令検索で2026年9月8日に確認したものです。回答中の件数は、当サイトが自治体公式サイトを実査した149自治体(45都道府県)のデータからの集計です。

墓地埋葬法とは、どんな法律ですか?

正式名称は「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年法律第48号)で、墓地埋葬法・墓埋法と略されます。第1条は、墓地・納骨堂・火葬場の管理と埋葬等が「国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われること」を目的と定めています。埋葬・火葬・改葬に市町村長の許可を求める第5条、墓地経営に都道府県知事の許可を求める第10条、管理者の義務を定める第12条〜第17条が柱です。

墓埋法の読み方は?

「墓地、埋葬等に関する法律」を縮めた「墓埋法」は、一般に「ぼまいほう」と読まれています。e-Gov法令検索では略称として「墓地埋葬法」が登録されています。どちらも同じ法律を指し、条文の番号も変わりません。

墓地埋葬法で、改葬(墓じまい)に許可が必要と定めているのはどの条文ですか?

第5条第1項です。「埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない」と定めています。同条第2項により、改葬の許可は「死体又は焼骨の現に存する地の市町村長」、つまりいまお墓がある市区町村が行います。申請書に書く7項目と添付書類は、同法の施行規則第2条が定めています。

改葬許可を受けずに遺骨を移すと、罰則はありますか?

あります。第21条は、第5条第1項(許可を受ける義務)に違反した者を「二万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と定めています(2026年9月8日に e-Gov で確認した条文)。また第14条により、墓地・納骨堂の管理者は改葬許可証を受理した後でなければ遺骨を受け入れられないため、許可証がないと新しい納骨先に納められません。

墓地埋葬法に、改葬許可証の手数料や交付までの日数は書かれていますか?

書かれていません。手数料は各自治体が条例で定め、日数も自治体の運用です。当サイトが自治体公式サイトを実査した149自治体(45都道府県)では、手数料を「無料」と明記していたのが44件、有料が9件(1件あたり300円〜600円)、記載がないものが96件でした。交付までの日数に記載があったのは45件です。法律が決めているのは「誰が・何を出し・誰が許可するか」までで、金額と速さは自治体ごとに違います。

次の一歩:条文から、自分の自治体の運用へ

条文は e-Gov 法令検索で誰でも読めます(法律施行規則)。読んだうえで残る疑問、たとえば手数料はいくらか、郵送できるか、証明がもらえないときどうするか、は法律ではなく自治体の運用です。当サイトの自治体別データベースでは、149自治体の窓口・手数料・郵送可否・必要書類を、公式サイトの出典と確認日つきで1ページにまとめています。

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大久保亮佑

執筆・編集

大久保亮佑株式会社Kogera代表

生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)

墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。

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