改葬許可申請の必要書類。全国共通のものと自治体ごとのもの

大久保亮佑

執筆・編集: 大久保亮佑株式会社Kogera代表生前整理アドバイザー2級

更新日: 2026年8月16日

自治体のページを開くと、聞き慣れない書類の名前が並んでいます。埋蔵証明書、受入証明書、承諾書。どれが自分に要るのか、どこで手に入るのか。ここで手が止まる方は多いはずです。

法令が定めている書類は、実は3種類だけ。あとは自治体ごとの運用です。当サイトが公式サイトを実査した149自治体(45都道府県)のうち、必要書類の記載を確認できた145件を数えたところ、いまのお墓の管理者による埋蔵・収蔵の証明を挙げていたのは113件でした。

法令が定めているのは3種類

遺骨をいまのお墓から移すには、お墓のある市区町村長の許可が要ります。申請書に添える書類は、墓地埋葬法の施行規則第2条第2項が全国共通で定めています。ひとつめが墓地等の管理者が作成した、埋葬・埋蔵・収蔵の事実を証する書面。ふたつめが、申請者が墓地使用者本人でない場合の墓地使用者等の承諾書(またはこれに対抗できる裁判の謄本)。みっつめがその他市町村長が特に必要と認める書類です。申請書そのものを加えても、法令が名指ししているのはこれだけ。

自治体ごとの違いは、3つめの「その他」から生まれます。改葬先の受入証明書、代理人の委任状、本人確認書類。どれも法令に名前は出てきません。各自治体が「特に必要と認める書類」として案内ページに載せているものです。だから同じ改葬なのに、隣の市とは揃える書類が違う、ということが起こります。

なお当サイトは、制度の一般的な解説と公式情報への案内を行うものです。書類作成の代行や記入指導は行いません。個別の事情に応じて何が必要になるかは、申請先の自治体窓口にご確認ください。

実査自治体で見た、書類ごとの出現頻度

当サイトは自治体の公式サイトを1件ずつ確認し、案内ページに書かれている必要書類をそのまま記録しています。収録149自治体のうち、書類のリストを確認できたのは145件。その内訳が次の表です。

改葬許可申請の必要書類として案内されていた書類と、その出現件数
書類挙げていた自治体数(145件中)役割・注記
改葬許可申請書14399%申請の本体。遺骨1体につき1枚とする自治体が多い
埋蔵・収蔵の事実の証明11378%いまのお墓の管理者が出す証明。別紙の証明書と、申請書内の証明欄の2通りがある
墓地使用者等の承諾書・同意7854%申請者が墓地使用者本人でない場合
改葬先に関する書類5739%受入証明書のほか、使用許可証・契約書・パンフレット等で足りる自治体もある
申請者の本人確認書類3524%運転免許証・マイナンバーカード等
印鑑・押印3021%押印は任意としている自治体もある
委任状2719%代理人が窓口に立つ場合
返信用封筒・返信用切手128%郵送で申請・受け取りをする場合
戸籍(除籍)謄本118%死亡年月日や続柄の確認用。求めない自治体のほうが多い

表を読むときに、ひとつだけ注意してください。ここに出ている件数は「案内ページに書いてあった」数です。書かれていない自治体で不要、という意味ではありません。案内ページにどこまで書くかは自治体の裁量で、実際には窓口で求められることもあります。数字は「多くの自治体が明示している書類はどれか」を掴むための目安として見てください。

ほぼ全ての自治体が求める2つ

まず改葬許可申請書145件のうち143件が挙げており、これは事実上すべてと言っていい数字です。様式は自治体ごとに違い、多くは公式サイトからダウンロードできます。ダウンロードに対応せず窓口・電話での取り寄せのみとしている自治体もあるので(下関市金沢市など)、遠方の場合は早めに確認しておくと安心です。

次がいまのお墓の管理者による、埋蔵・収蔵の事実の証明113件(約78%)が挙げていました。「埋蔵証明書」という名前で覚えている方が多い書類ですが、実務では2通りの形があります。

ひとつは、管理者が独立した証明書を発行する形。67件がこの形で案内していました。もうひとつが、改葬許可申請書のなかに証明欄があり、そこに管理者から署名・押印をもらう形です。こちらは50件。つまり相当数の自治体では、証明書を別に用意する必要がありません。申請書を先に入手して、それを持って寺院や霊園に足を運ぶ。この順序になります。

この違いは段取りに直結します。証明書を発行してもらう前提で動くと、「まず市役所で申請書をもらってきてください」と言われて二度手間になりかねません。ご自身の自治体がどちらの方式かは、申請書の様式そのものを見れば分かります。証明欄があれば後者です。

一部の自治体だけが求めるもの

墓地使用者等の承諾書78件。法定の添付書類でありながら全件でない理由は単純で、申請者と墓地使用者が同じなら不要だからです。多くの自治体が「申請者と墓地使用者が異なる場合のみ」という条件つきで案内しています。名義がすでに亡くなった親のまま、というケースでは扱いが分かれるため、窓口への確認が要ります。

改葬先に関する書類57件(約39%)。受入証明書という名前で知られていますが、必ずしも証明書でなくてよい自治体が少なくありません。使用許可証、契約書、永代使用料の領収書、施設のパンフレットでも足りるという案内が実際にあります。越谷市のように、受入証明書は不要とはっきり書いている自治体も。改葬先がまだ決まりきっていない段階でも申請できるかどうかは、ここで変わります。

残りは少数派です。本人確認書類35件、印鑑・押印30件、委任状27件、返信用封筒・返信用切手12件、戸籍(除籍)謄本11件。戸籍謄本は、古いお墓の改葬で必ず要るものと思われがちですが、必要書類として挙げている自治体は1割に届きません。柏市のように「窓口申請の場合のみ」と条件を付けている例もあります。押印についても、さいたま市は「押印は任意」と明記しています。

埋蔵証明が取れないときの代替

いちばん現実的につまずくのが、管理者の証明です。管理者が誰か分からない共同墓地、無住になった寺院、自分の敷地内にある古い墓。証明をもらう相手がいない、という状況は珍しくありません。当サイトの実査では、47自治体が代替手段について公式サイトに何らかの記載を置いていました。実際の書きぶりを見ていきます。

様式は問わない——これがいちばん多いパターンです。横浜市は埋蔵証明について「墓地管理者が定める様式でも構いません」、長野市は「墓地や納骨堂等の所定の書式でもけっこうです」と案内しています。大津市盛岡市も同様に、管理者が独自に発行する書類(様式不問)で対応可としています。市指定の用紙にこだわらなくてよい、ということです。

公営墓地からの改葬なら、使用許可証で足りるケースもあります。新潟市は市営墓地・霊堂からの改葬について、埋葬又は埋蔵収蔵証明書に代えて墓地使用許可書の提出で足りると案内(根拠として市の条例・規則を明示)。岡山市も市営墓地は墓地使用許可証で代替可、受入証明書についても使用許可証・使用決定通知・契約書の写し等で代替可能としています。金沢市では、市営墓地からの改葬に限り管理者の署名そのものが不要です。

管理者がいない墓地はどうか。那覇市は「お墓の場所を示す地図」で代替可能と明記しています。高松市も、管理者不明墓地・個人墓地について場所を確認できる地図等の提出で代替可としています。自分の土地にあるお墓なら、岡崎市が「申述書」の提出という道を示しています。海外で火葬した遺骨については、八王子市が現地官憲発行の火葬済証明書の写しと日本語訳文での代替を案内していました。

ただし、これらはあくまで各自治体が公式に明記していた運用です。記載のない自治体で同じ扱いになるとは限りません。証明が取れそうにないと分かった時点で、書類を揃える前に窓口へ相談する。そのほうが結果的に早く進みます。

次の一歩:自分の自治体の一覧を確認する

全国共通なのは、申請書・管理者の証明・(該当すれば)承諾書の3点。ここから先は、お墓のある市区町村の案内が正解です。当サイトの自治体別データベースでは、必要書類・様式へのリンク・窓口・手数料・郵送可否を、公式サイトの出典と確認日つきで公開しています。収録数は毎月増やしていく予定で、この記事の件数もDBの更新にあわせて自動で切り替わります。

オンラインで受け付ける自治体では、管理者の証明書等をPDFで出せる場合があります。ただし、原本確認や本人確認の方法は自治体判断です。オンライン申請の対応例と確認項目で、送信前に見るポイントを整理しています。

窓口が遠くて足を運びにくい場合は、郵送申請という手もあります。返信用封筒や切手の扱いを含め、郵送での申請で整理しました。書類が揃ったあとの記入については、申請書の書き方もあわせてどうぞ。

大久保亮佑

執筆・編集

大久保亮佑株式会社Kogera代表

生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)

墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。

費用シミュレーターを使う