「無縁墓」と言われたら。通知が届いたときに確認すること

大久保亮佑

執筆・編集: 大久保亮佑株式会社Kogera代表生前整理アドバイザー2級

更新日: 2026年8月17日

墓地の管理者から封書が届いた。お墓の前に立札が立っていると知らされた。あるいは「墓石が傾いている」と電話があった——心当たりの薄いところから来る知らせほど、落ち着かないものです。

こうした連絡が来た時点で、お墓がすぐに撤去されるわけではありません。無縁墳墓等を改葬するには、官報への掲載と、お墓の見やすい場所への立札を1年間掲示することが、墓地埋葬法の施行規則で定められています。まずは、届いたものが何なのかを見分けるところから始めます。

届いたものが何かを見分ける

「無縁墓」という言葉は、ひとまとめに使われがちです。けれど実際に届く連絡は、段階の違う4種類に分かれます。どれなのかで、急ぎ方も、やることも変わります。

  • 管理費の督促・支払いのお願い……無縁墳墓の手続きとは別の、その手前の連絡です。滞納分の案内や、支払い方法の確認が中心。
  • 使用者・縁故者の所在確認……住所変更の届出がない、名義人が亡くなっているなどで連絡が取れなくなった場合に届きます。「ご連絡ください」という趣旨のもの。
  • 無縁墳墓等に関する公告の案内・立札の掲示……施行規則にもとづく手続きが始まっている段階です。文中に「無縁墳墓」「官報」「公告」「申し出」といった語が出てきます。
  • 墓石の破損・傾き・樹木の越境などの連絡……安全や周囲への影響に関するもので、無縁墓の話とは別系統です。

見分けの手がかりは、差出人と用語です。差出人が寺院なのか、霊園の運営会社なのか、自治体の担当課なのか。そして本文に上記の語があるかどうか。この2点で、たいていはどれかに絞れます。

立札や官報公告は「もう決まった」という意味ではない

1年間の掲示は、縁故者からの申し出を待つために置かれた期間です。この間に申し出があれば、そこから通常の相談に切り替わります。手続きの終点ではなく、途中の区切り。制度の全体像は墓じまいをしないとどうなるかの記事に、条文にもとづいて整理してあります。

先に書き写しておく3つ

通知を読んだ直後は、内容よりも動揺のほうが記憶に残ります。読みながら、次の3つだけ紙に写しておいてください。

  • 差出人と連絡先……担当部署、担当者名、電話番号。折り返す先が分かれば、あとは急ぎません。
  • 申し出の期限と宛先……いつまでに、どこへ。期限の書かれていない通知もあります。
  • お墓の表示……区画番号と、通知に記載された使用者名。その名義が、いまの家族の認識と合っているかどうか。

通知そのものは、写真に撮るかコピーを取って残します。家族に相談するとき、口頭で説明するより早く伝わります。

連絡すると、何が起きるか

縁故者として名乗り出ることが、そのまま「墓じまいをします」という意思表示になるわけではありません。管理者の側がまず知りたいのは、連絡の取れる人がいるかどうか。それだけです。

実際に電話をすると、話はたいてい事務的な確認に進みます。名義(使用者)を誰に変更するか、連絡先をどう届け出るか、滞納があればその扱いをどうするか。ここまでで一区切りになることも多くあります。

滞納の金額をその場で告げられると身構えてしまいますが、支払い方法をどこまで相談できるかは管理者によって異なります。分割に応じるところもあれば、規則で決まっているところも。まずは現状と支払い方法を聞くところから始めれば十分です。当サイトから一律の目安はお伝えしません。

名義人がすでに亡くなっている場合

通知の宛名が、亡くなった親や祖父母のままになっている。よくある形です。この場合、管理者から名義変更(承継の手続き)を案内されることがあります。誰が引き継ぐかで迷うなら、継ぐ人がいないときの選択肢を先に読んでおくと、電話口で答えを迫られても慌てずに済みます。その場で決めなければならないものでもありません。

墓石の破損を指摘された場合

墓石が傾いている、目地が割れている、台座がずれている。こうした連絡は、無縁墳墓の手続きとは別のものです。倒れれば隣の区画や参拝者に及ぶため、管理者が安全の観点から知らせてきます。

受け取ったその日に修理を決める必要はありません。確認する順番はこうです。

  • どこが、どう傷んでいるのか(写真を送ってもらうか、現地を見る)
  • すぐに危険がある状態か、経過を見られる状態か
  • 応急の措置を管理者側で行ってもらえるか、費用はどうなるか
  • 修繕の費用を誰が負担することになるか(墓石は使用者の所有物として扱われるのが一般的です)

そのうえで、「直す」と「墓じまいをする」を並べて考えます。修繕にかかる額と、撤去・改葬にかかる額。両方が分かってから決めても遅くはありません。撤去側の費用の内訳は墓石撤去費用の記事にまとめてあります。破損の指摘を、そのまま墓じまいの理由にする必要はないのです。

連絡がついたあとに選べること

管理者と話がつながれば、そこから先は通常の検討に戻ります。選べるのは次の4つです。

  • いまのお墓を維持する……名義を整え、連絡先を届け出て、管理費を払い続ける。
  • 次に継ぐ人を決めておく……承継できる人の範囲は、墓地の使用規則で決まっています。
  • 改葬する……遺骨を別の供養先へ移し、区画を返す。いわゆる墓じまいです。
  • いまは決めない……連絡が取れる状態を保ったまま、家族と話す時間を取る。

通知が来たからといって、選択肢が減るわけではありません。減るのは、連絡がつかないままにしていた場合です。

次の一歩

書き写した3つと、通知の写し。それを持って、家族に状況を共有してください。ひとりで抱えたまま管理者と話を進めると、あとで説明が必要になったときに、経緯を全部もう一度たどることになります。

そのうえで、期限があるならそこまでに折り返す。ないなら、家族と話してからでかまいません。落ち着いて順番に片づけていけば、たいていは事務的な連絡のやり取りで収まります。

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大久保亮佑

執筆・編集

大久保亮佑株式会社Kogera代表

生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)

墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。

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