離檀料の相場はいくら?公式な相場が存在しない理由と、支払った人の分布・拒否できるかの確認点
執筆・編集: 大久保亮佑(株式会社Kogera代表/生前整理アドバイザー2級)
更新日: 2026年9月3日
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離檀料の相場は、公式には存在しません。曹洞宗宗務庁は2023年に「宗門公式としての離檀料に関する取り決めはありません」と公表し、国民生活センターも「料金に明確な基準はありません」と案内しています。
それでも検索すると、5万円、10万円、20万円と違う数字が並びます。どれが本当なのか分からないまま、お寺に切り出す日だけが近づいてくる。この記事では、分かっていることと分かっていないことを分けて、出典つきでお伝えします。
この記事の要点
| 公式な相場 | 存在しない。曹洞宗宗務庁「宗門公式としての離檀料に関する取り決めはありません」(2023年10月25日)、国民生活センター「料金に明確な基準はありません」 |
|---|---|
| 法律上の位置づけ | 墓地、埋葬等に関する法律に離檀料の条文はない(「離檀」「檀家」「布施」という語は条文に出てこない) |
| 支払った人の分布 | 5〜10万円 23.8%(最多)/20〜30万円 21.4%/5万円未満 19.0%(墓じまいパートナーズ2026年3月調査、お布施の金額・支払経験者n=42) |
| 発生しない区分 | 民営霊園・公営霊園(檀家という関係がない)。発生しうるのは寺院墓地のみ |
| 手続きとの関係 | 改葬許可申請には墓地管理者の埋蔵証明が必要(施行規則 第2条第2項)。当サイトが実査した149自治体のうち、証明の様式や代替書類の扱いを公式に案内していたのは50件 |
| 相談の件数 | 「墓じまい」に関する消費生活相談は2023年886件・2024年979件・2025年1,005件(国民生活センター、2026年7月31日掲載) |
離檀料とは何か(法律に規定のない費目)
離檀料は、寺院墓地の「檀家」という関係を終えるときに、寺院へ渡すお金を指す言葉です。国民生活センターはこれを「寺にお礼として支払うお布施の意味を持つもの」と説明しています。名前に「料」とついていますが、料金表のある手数料ではありません。
法律にも、この費目は出てきません。当サイトが2026年9月2日にe-Gov法令検索で「墓地、埋葬等に関する法律」の全条文を確認したところ、「離檀」「檀家」「布施」「寺院」という語はいずれも条文中にありませんでした。法律が定めているのは、改葬に市区町村長の許可が要ること(第5条)、許可証を交付すること(第8条)、許可証を受け取るまで納骨させてはならないこと(第14条)といった手続きの骨組みです。離檀料の有無や金額は、法律の外側にあります。
「墓じまい」という言葉とのつながりも押さえておきます。墓じまいは、遺骨を別の場所へ移す「改葬」と、墓石を撤去して区画を返す作業をあわせた俗称です。離檀は、そのうち寺院墓地の場合にだけ加わる、檀家関係の終了という出来事。言葉の整理は改葬とはにまとめています。
「相場」が存在しない理由:宗派の公式見解と国民生活センター
離檀料に相場がないと言えるのは、当サイトの意見ではなく、当事者に近い機関がそう公表しているからです。2つ挙げます。
ひとつは曹洞宗宗務庁の見解です。2023年10月25日付の「離檀料・墓じまいに関する報道について」で、「宗門公式としての離檀料に関する取り決めはありません」「特段の理由により離檀される場合において、檀信徒から、離檀料を頂くようになどという指導も行っておりません」と明記しています。金額については「地域の風習や慣行、寺院と檀信徒との関係性において、当事者間の話し合いにより決まるものと考えております」。あわせて、「離檀料は一般的に〇〇万円」というように相場があるかのような報道への懸念も示されています。
もうひとつは国民生活センターです。消費者トラブルFAQに「改葬したいと伝えたら、寺から高額な離檀料を請求された。納得できない」という項目を設け、回答をこう書いています。「離檀料は、寺にお礼として支払うお布施の意味を持つもので、現状は、料金に明確な基準はありません。基本的には、当事者間で話し合うこととなります。」(公開2023年10月24日、更新2026年1月9日)
宗派の側も、消費者相談の側も、基準はないと言っている。ここが出発点です。当サイトが「相場は○万円」と書かないのは、書けるだけの根拠がどこにもないためです。
それでも「相場」の数字が出てくる理由
基準がないのに、検索結果には金額が並びます。理由は単純で、各サイトが「目安」として置いている数字がそれぞれ違うからです。たとえばライフドット(2025年5月28日更新)は住職への取材をもとに5万〜20万円を相場として掲げています。墓じまいパートナーズの調査ページは「一般的な目安は3〜10万円程度とされていますが、寺院との関係性や地域の慣習によって異なる」と書いています。同じ「目安」でも、上限が10万円と20万円で倍違います。
どちらかが間違っているのではなく、取材先や前提が違えば数字も違う。それが、公式基準のない費目の正直な姿です。数字を見るときは「誰が、何をもとに、いつ出した目安か」をセットで見る。当サイトはその前提で、以下に実態の分布だけを示します。
支払った人の分布(2026年調査)
出典を明示した分布として、当サイトが確認できているのは墓じまいパートナーズの「墓じまい実態調査2026」(2026年3月、インターネット調査、n=230、うち墓じまい経験者52人)です。「お布施の金額」を支払経験者42人に聞いた結果は、次のとおりでした。
| 金額帯 | 割合 | 備考 |
|---|---|---|
| 5万円未満 | 19.0% | |
| 5〜10万円 | 23.8% | 最多 |
| 20〜30万円 | 21.4% |
読むときの注意が2つあります。第一に、この設問は「お布施」の金額であって、離檀料だけを切り出した集計ではありません。同調査は「離檀料という名目で請求されることもありますが、多くの場合は離檀のご挨拶としてのお布施として渡されており」と説明しており、閉眼供養のお布施と離檀の挨拶が混ざった数字です。第二に、n=42という小さな母数です。公表されている3つの帯を足しても64.2%で、残りは公表値がありません。
それでも、この分布からひとつ言えることがあります。5〜10万円に最も集まりつつ、20〜30万円という帯も2割を占めている。ひとつの金額に収れんしていない。「相場」を名乗れる山が、そもそもないのです。
極端に高額な請求について。国民生活センターが「高額な離檀料を請求された」という相談をFAQに立てていることからも、そうした事例が実際に相談窓口に届いていることは分かります。ただし、上の分布で見るかぎり、それは典型ではなく例外です。高額な例を「相場」と取り違えないこと、逆に例外だからといって起こらないと決めつけないこと。その両方が要ります。
離檀料が発生しないお墓
離檀料という費目が最初からない場合があります。民営霊園と公営霊園です。離檀は檀家という関係を終えることなので、その関係がない霊園には離檀もなく、離檀料もありません。「うちのお墓に離檀料はかかるのか」という問いは、まず「お墓が寺院墓地かどうか」という問いに置き換えられます。
区分の見分け方は、墓地の使用許可証や管理料の請求書の差出人を見るのが早い方法です。市区町村や公園墓地の管理事務所が差出人なら公営、株式会社や公益法人なら民営、宗教法人(○○寺)なら寺院墓地というのが大まかな目安になります。宗教法人が経営する霊園でも、檀家になることを条件にしていない「宗教不問」の区画があるため、契約書や使用規則の「檀家」「檀信徒」に関する条項を確かめてください。
霊園であっても、閉眼供養を僧侶に依頼すればお布施は発生しえます。これは儀式へのお礼で、離檀料とは別の費目です。違いと目安は閉眼供養のお布施相場で整理しています。
「拒否できるか」を考える前に確認しておく5つ
「離檀料 拒否」という検索が一定数あります。払わなくてよいのか、払わないとどうなるのか。当サイトは個別の法律判断や、寺院との交渉の進め方についての助言は行っていません。そのかわり、判断の材料を集めるために先に確認しておくと整理しやすい点を、事実の範囲で5つ挙げます。
- 墓地使用規則・契約書に、離檀や区画返還の際の費用の定めがあるか
離檀料は法律上の費目ではないため、あるとすれば根拠は寺院との契約や規則の側にあります。使用許可証を受け取ったときの規則、檀信徒規約、護持会の会則。この3つに「離檀」「退会」「返還」の項目があるかを読みます。定めがあるかないかで、話の前提がまったく変わります。 - 請求の名目と内訳
「離檀料」とひとくくりに言われた金額の中に、閉眼供養のお布施、未納の護持会費や管理料の清算、墓石撤去の工事費(寺院の指定石材店による場合)が混ざっていることがあります。名目ごとに分けて書き出すと、離檀料そのものがいくらなのかが見えてきます。 - 基準がないことを、双方の公式見解として押さえておく
曹洞宗の「宗門公式としての取り決めはない」という見解も、国民生活センターの「明確な基準はなく、当事者間で話し合う」という案内も、公開された文書です。どちらもこの記事の参照元にリンクしています。金額の根拠を尋ねるときの前提知識として役に立ちます。 - 改葬の手続き上、寺院の証明が要ること
改葬許可申請には、いまのお墓の管理者が作成した埋蔵(収蔵)の事実を証する書面が必要です(施行規則 第2条第2項)。離檀料の話と改葬許可は制度上は別ですが、証明をもらう相手が同じ寺院なので、話し合いが済んでいないと手続きが止まりやすい。次の見出しで、自治体の運用を実査データから示します。 - 相談先
金額に納得できない場合、国民生活センターは当事者間の話し合いを基本としつつ、消費者ホットライン「188」を案内しています。188にかけると最寄りの消費生活センターにつながります。法的な判断が必要な段階になれば弁護士へ、というのが一般的な順序です。当サイトは相談窓口ではなく、特定の専門家への取り次ぎも行っていません。
5つのどれも、寺院と対立するための材料ではありません。何を根拠に、何が請求されているのかを自分の側で整理しておくと、話し合いの場で混乱しにくくなる。それだけのことです。
改葬手続きとの関係:埋蔵証明書(149自治体を実査)
離檀料の話が長引くと、なぜ手続きまで止まるのか。理由は添付書類にあります。墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第2条第2項は、改葬許可申請書に「墓地又は納骨堂の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面」を添えるよう定めています。寺院墓地なら、この書面を作るのは寺院です。
当サイトが自治体公式サイトを実査した149自治体(45都道府県)のうち、必要書類の記載を確認できた146自治体では、埋蔵・収蔵の証明を求めていたのが117件でした。うち別紙の証明書としてが62件、申請書の中の証明欄に管理者の署名・押印をもらう形が62件です。様式はどうあれ、寺院の側の記入や押印が要る点は変わりません。
証明の様式や代替書類の扱いについて公式に案内していた自治体は50件ありました。多くは「申請書の証明欄で可」「墓地管理者の様式でも可」という様式の柔軟さに関するもので、管理者の証明そのものを不要とする案内は、市営墓地からの改葬や管理者が分からない墓地など限られた場面にとどまります。ご自身の自治体の扱いは、自治体別データベースの個別ページ(出典・確認日つき)でご確認ください。
手続きの全体像と、改葬許可証を受け取るまでの流れは改葬許可証とはにまとめています。鎌倉新書の2026年調査(n=733)では、改葬・墓じまいで大変だったことに「役所の手続き」を挙げた人が32.3%でした。寺院との話と役所の手続きは、順番として前後がつながっています。
お寺の側の事情
この記事は檀家の側の検索に応えるために書いていますが、寺院の側にも事情があります。檀家の減少と、本堂や境内を維持するための護持費です。長く続いてきた関係を終える場面で、寺院がこれまでの経緯を踏まえた話をすることは、それ自体が不当というわけではありません。
墓じまいパートナーズの2026年調査では、墓じまいで大変だったことの1位が「お寺(住職)とのやり取り」で38.5%(経験者n=52)。2位の「手続き・書類」23.1%を大きく上回りました。同じ調査は「離檀の意向を伝える際に住職との関係性が難しかったという声が多く」とも書いています。金額の問題であると同時に、関係の終わり方の問題でもある。数字はそのことを示しています。
当サイトは、どちらか一方の立場に立ちません。この記事で扱ったのは、金額と制度について確かめられた事実の範囲です。気持ちの整理やお寺との向き合い方そのものについては、宗教者の助言にあたるため踏み込んでいません。判断の基準は編集方針に記載しています。
よくある質問
回答中の分布は墓じまいパートナーズ2026年調査、公式見解は曹洞宗宗務庁と国民生活センターの公開文書からの転記です。金額の断定と個別の助言は行っていません。
離檀料の相場はいくらですか?
公式な相場は存在しません。曹洞宗宗務庁は2023年10月25日に「宗門公式としての離檀料に関する取り決めはありません」と公表し、国民生活センターも「料金に明確な基準はありません」と案内しています。参考になるのは支払った人の実態で、墓じまいパートナーズの2026年3月調査(支払経験者n=42)では、お布施(離檀料という名目の請求を含む総称)の分布が「5〜10万円」23.8%で最多、「20〜30万円」21.4%、「5万円未満」19.0%でした。ひとつの金額には集まっていません。
離檀料は必ず払わなければいけませんか?拒否できますか?
墓地、埋葬等に関する法律に離檀料の規定はなく、曹洞宗も「檀信徒から離檀料を頂くようにという指導は行っていない」としています。国民生活センターは「基本的には、当事者間で話し合うこととなります」と案内しています。つまり、法律で払う義務が定められている費目ではなく、また払わなくてよいと決められている費目でもありません。墓地使用規則や契約書に離檀時の費用の定めがあるかどうかで扱いが変わりうるため、当サイトでは個別の判断や交渉の助言は行っていません。納得できない請求については、消費者ホットライン(188)で最寄りの消費生活センターに相談できます。
離檀料を払わないとどうなりますか?
制度の上では、離檀料の支払いと改葬許可は別のものです。ただし改葬許可申請には、いまお墓を管理する寺院などが作成した「埋蔵(収蔵)の事実を証する書面」を添える必要があります(墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第2条第2項)。そのため、寺院との話し合いが済んでいない状態では、改葬の手続きそのものが進みにくい構造になっています。何が起きるかは個々の関係によるため、当サイトでは一般化していません。
離檀料と閉眼供養のお布施は同じものですか?
別のものです。閉眼供養のお布施は、遺骨を取り出す前の儀式そのものへのお礼で、寺院墓地でも公営・民営霊園でも僧侶に依頼すれば発生しえます。離檀料は、寺院墓地の檀家という関係を終えるときのものです。墓じまいパートナーズの調査でも、離檀料という名目の請求は「離檀のご挨拶としてのお布施」として渡されることが多いと説明されており、両者は混ざりやすい費目です。請求を受けたときは、名目と内訳を分けて把握しておくと整理しやすくなります。
民営霊園や公営霊園でも離檀料はかかりますか?
かかりません。離檀料は、寺院の檀家という関係を終えるときのものなので、檀家という関係そのものがない民営霊園・公営霊園では発生しません。ご自身のお墓が寺院墓地なのか、民営・公営の霊園なのか。この区分を確かめることが、離檀料という費目があるかないかを判断する最初の分かれ目です。なお霊園でも、閉眼供養を僧侶に依頼すればお布施は別に発生しえます。
次の一歩:総額の中で離檀料を見る
離檀料は、単体で見ると幅ばかりが目立つ費目です。総額の中に置くと、位置づけが変わります。鎌倉新書の2026年調査では、墓じまいの費用は「31万円〜70万円」が31.3%で最多でした。当サイトの費用シミュレーターは、墓地の区分を選ぶと、寺院墓地なら離檀料を含め、民営・公営霊園なら含めずに総額の幅を計算します。登録もメール入力も要りません。
今すぐ結論を出す必要はありません。「する・しない・様子見」は、どれも同じ重さの選択です。総額の内訳は墓じまいの費用相場に、遺骨の移し先の比較は改葬先7つの比較と改葬先の診断にあります。
総額の中で、離檀料は動かしにくい費目です。一方、墓石撤去の工事費は複数の石材店の見積もりを比べることで自分の帯が見えてきます。寺院が石材店を指定している場合は指定先の見積もりが基本になりますが、指定がない場合は一括見積もりサービスを使う手もあります(以下は広告リンクです)。
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参照元
- 曹洞宗宗務庁「離檀料・墓じまいに関する報道について」(2023年10月25日)〔2026年9月2日〕
- 国民生活センター 消費者トラブルFAQ「【墓地】改葬したいと伝えたら、寺から高額な離檀料を請求された。納得できない。」(公開2023年10月24日・更新2026年1月9日)〔2026年9月2日〕
- 国民生活センター「墓・葬儀サービス(各種相談の件数や傾向)」(2026年7月31日掲載)〔2026年9月2日〕
- 墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov法令検索)全条文を確認〔2026年9月2日〕
- 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)第2条第2項(改葬許可申請の添付書類)〔2026年9月2日〕
- 墓じまいパートナーズ 墓じまい実態調査2026(2026年3月、n=230・経験者52・お布施の金額 支払経験者n=42)〔2026年9月2日〕
- 鎌倉新書 第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年1月16日〜23日、n=733)調査結果〔2026年9月2日〕
- ライフドット「離檀料の相場は5万~20万円!住職に聞く費用やトラブルの実情」(2025年5月28日更新)〔2026年9月2日〕
- 当サイト 改葬許可(自治体別)データベース(149自治体・45都道府県を実査)〔2026年9月3日〕

執筆・編集
大久保亮佑株式会社Kogera代表
生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)
墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。