散骨を禁じる全国一律の法律はない|厚労省ガイドライン(2021年)と、条例・指針で規制する9自治体を一次情報で整理

執筆・編集: 大久保亮佑(株式会社Kogera代表/生前整理アドバイザー2級)

更新日: 2026年10月1日

本ページには広告(アフィリエイト)を含みます

散骨を禁じる全国一律の法律はない|記事の要点を1枚にまとめた図版

散骨を禁止する全国一律の法律はありません。ただし「合法」と明言した公式文書もなく、当サイトが条文・指針を確認できただけでも9つの自治体が条例や指針で散骨を規制しています。「どこでも自由にできる」も「一切できない」も、どちらも不正確です。

「散骨って、そもそもやっていいことなの?」——海洋散骨を調べ始めた方の多くが、最初にここで立ち止まります。ネット上には「法務省が認めている」「グレーゾーン」と、幅のある説明が並んでいます。この記事では、法律の条文、厚生労働省のガイドライン(2021年)、自治体の条例という一次情報にあたり、確認できた事実と確認できなかった情報を分けて整理します。

この記事の要点

先に結論だけ表にします。根拠はいずれも法令の条文、厚生労働省の公表文書、自治体の例規集で、当サイトが本文を確認したものに限ります。

散骨の法規制に関する要点(一次情報で確認できた範囲)
論点確認できたこと根拠
散骨を禁止する法律全国一律の禁止規定はない。墓埋法は埋葬・埋蔵・収蔵を規制し、散骨を想定していない墓地、埋葬等に関する法律 第2条・第4条
散骨を「合法」とした公式文書存在を確認できない。「法務省見解(1991年)」は公式サイト上に文書がなく、伝聞情報当サイト調査(法務省公式サイト)
国のガイドライン厚労省が2021年に事業者向けガイドラインを公表。粉状化・場所の配慮・書面契約・証明書交付を求める(法令ではない)厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」
条例・指針で規制する自治体当サイトが条文・指針を確認できたのは9件(長沼町・岩見沢市・秩父市・熱海市・伊東市・松島町・湯河原町・本庄市・三浦市)。全面禁止・許可制・海域の距離基準と形は様々各自治体の例規集・公式サイト(下表)
遺骨のまま撒く・置いてくる行為散骨とは別問題。刑法の死体損壊等罪(遺骨の遺棄を含む)に問われうる刑法 第190条
改葬許可証との関係散骨は法律上の「改葬」(他の墳墓・納骨堂へ移すこと)の定義に含まれない。許可証の扱いは自治体の運用による墓地、埋葬等に関する法律 第2条第3項

国の法律が直接の対象としていない一方で、場所のルールと節度が問われる行為。それが散骨の実際の姿に近いと考えられます。

法律の建て付け: 墓埋法は散骨を想定していない

遺骨の扱いを定める基本の法律は「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年)です。ただし、この法律が規制しているのは墓地への「埋葬」と焼骨の「埋蔵」「収蔵」(第4条は「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」と定めています)。制定当時、散骨という葬送は想定されていません。粉状にした焼骨を海や山に撒く行為への直接の規定はないのです。散骨がしばしばグレーゾーンと呼ばれるのは、この「想定外」に由来します。

なお、遺骨を「遺棄」すれば刑法第190条(死体損壊等。遺骨の損壊・遺棄を含む)に問われうるため、粉状化せずに遺骨のまま撒く・置いてくる行為は散骨とはまったく別問題です。ここは混同しないでください。

「法務省見解」は公式文書で確認できない

散骨の解説記事では、「法務省が1991年に『節度をもって行われる限り違法ではない』との見解を示した」という説明が広く使われています。当サイトで出典をたどったところ、法務省の公式サイト上に該当する公式文書は見つかりませんでした。この「見解」は当時の非公式な回答として伝えられているもので、報道や書籍を経由した伝聞情報です。後年、法務省がそのような見解を出した記録はないと述べたとする情報もあります。確認できない情報を根拠に「散骨は認められている」と断定することは、当サイトではしません。

厚労省公表の事業者向けガイドライン(2021年)

国レベルで散骨に触れた数少ない公的文書が、厚生労働省が2021年3月に公表した「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」です。厚生労働科学特別研究事業の成果としてまとめられたもので、法律でも省令でもありません。散骨事業者に自主的な遵守を求める性格の文書です。求めているのは、焼骨を粉状にすること、散骨場所について陸上・海上それぞれで関係者や自然環境に配慮すること、契約を書面で行い費用の明細や解約規定を明らかにすること、散骨を行った証明書を交付すること、といった内容です。

裏を返せば、この項目は散骨事業者を選ぶときのチェックリストとして使えます。粉骨の方法、散骨海域の説明、書面契約と明細、証明書の交付。これらを明確に説明できる事業者かどうかは、依頼前に確かめられる具体的な基準です。粉骨そのものについては粉骨とはで整理しています。

条例・指針で散骨を規制する9自治体

散骨を条例や指針で規制する自治体は、実際にあります。当サイトが自治体公式サイト・例規集で条文や指針を直接確認できたのは次の9例。全面禁止、許可制、海域の距離基準と、規制の形はさまざまです。

散骨を条例・指針で規制する自治体(公式サイトで確認できた例)
自治体条例・指針規制の内容施行確認日出典
北海道長沼町さわやか環境づくり条例墓地以外での焼骨の散布を全面禁止(罰則あり)。散骨規制条例の先駆例—2026年8月8日出典を見る
北海道岩見沢市散骨の適正化に関する条例散骨場以外での散骨を原則禁止。散骨場の経営は許可制—2026年8月8日出典を見る
埼玉県秩父市環境保全条例墓地以外での散骨を原則禁止—2026年8月8日出典を見る
静岡県熱海市散骨場の経営の許可等に関する条例・海洋散骨事業ガイドライン散骨場は許可制。海洋散骨は市の陸地から約10km圏外で行うこと等を求める—2026年8月8日出典を見る
静岡県伊東市散骨場等の経営の許可等に関する条例・海洋散骨に係る指針散骨場は許可制。海洋散骨は陸地から6海里(約11km)以内では行わないことを求める—2026年8月8日出典を見る
宮城県松島町松島町環境美化の促進に関する条例第8条で「何人も、みだりに焼骨を散布してはならない」と定める(粉末状・顆粒状にしたものも焼骨に含む)。違反には勧告・命令。焼骨の散布場所を提供することを業とした者は6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金。条文に海と陸の区別は書かれていない2010年5月28日制定。現行条文は2025年6月1日施行の改正後2026年10月1日出典を見る
神奈川県湯河原町湯河原町散骨場の経営の許可等に関する条例散骨場(町の許可を受けた事業区域)の経営は町の許可制。許可の申請前に、町との事前協議、近隣住民への説明会、境界を接する全ての土地所有者の同意が必要。許可基準に、散骨場が事業者の所有地で抵当権等のない土地であることなどを定める。暴力団構成員等は許可を受けられない。違反には改善勧告・命令、許可の取消し、公表2014年7月31日2026年10月1日出典を見る
埼玉県本庄市本庄市散骨場の設置等の適正化に関する条例散骨場の設置は市長の許可制。申請前に、事前協議、標識の設置、近隣住民(敷地境界から300m以内)への説明会が必要。許可基準に、設置者の所有地であること、隣接する全ての土地所有者の同意、公園・学校・保育所・病院や住居の敷地境界からおおむね300m以上(管理責任者・世帯代表者全員の同意があれば例外)、河川・湖沼からおおむね100m以上などを定める。使用禁止命令・公表の規定はあるが、罰則規定は条文に見当たらない2010年4月1日2026年10月1日出典を見る
神奈川県三浦市三浦市散骨場の経営等の許可等に関する条例散骨場(墓地の区域内を除く)の経営等は市長の許可制で、申請前に隣接土地所有者等の同意が必要。河川・湖沼などの公共水域、公園・道路・海岸などの公共の場所(いずれも海域を除く)と他人の土地での散骨は、権原がある場合を除き禁止。海域を含む散骨は、市長が別に定める指針を参照し、産業等への影響を考慮して行うことを求める(第18条第3項)。無許可の経営等には5万円以下の過料2025年1月27日(海域の指針に関する第18条第3項は2026年1月21日)2026年10月1日出典を見る

ここに挙げた以外にも、規制や指針を持つ自治体はあります。陸上での散骨や、思い入れのある土地での散骨を考えているなら、必ずその土地の自治体の条例・指針を確認するところから始めてください。また、他人の土地への散骨は、所有者の同意なしには行えません。海洋散骨でも、熱海市・伊東市のように出航地や海域に距離基準を置く自治体があるため、事業者がどの海域で行うかを確認する材料になります。

海洋散骨はどこでできるか: 海域の考え方

沖に出れば、どこで撒いてもよいわけではありません。かといって、国の法律に「陸地から何キロ以上」という距離の定めがあるわけでもない。海域の考え方を示しているのは、厚生労働省のガイドライン、業界団体の自主基準、そして一部の自治体の条例・指針です。

厚生労働省のガイドラインは、散骨を行う場所について、陸上なら「あらかじめ特定した区域(河川及び湖沼を除く)」、海洋なら「海岸から一定の距離以上離れた海域」と定めています。ただし距離の数値は示されていません。「地理条件、利用状況等の実情を踏まえ適切な距離を設定する」とあるだけです。あわせて、地域住民、周辺の土地所有者、漁業者などの利益や宗教感情を害さないよう、事業者に十分な配慮を求めています。

数値で線を引いているのは、業界団体の日本海洋散骨協会です。加盟事業者向けのガイドライン(平成26年12月1日施行、令和3年8月1日に一部改定)と、厚生労働省のガイドラインを並べると、次のようになります。

海洋散骨の場所に関する基準の比較(原文で確認できた範囲)
観点厚生労働省ガイドライン(令和3年3月)日本海洋散骨協会ガイドライン
沖合の距離海岸から一定の距離以上。数値は示さず、実情を踏まえて事業者が適切な距離を設定人が立ち入ることができる陸地から1海里(1,852m)以上離れた海上
避ける場所・相手漁業者等の関係者の利益・宗教感情に配慮漁場・養殖場・航路を避ける。河川、滝、干潟、河口付近、ダム、湖沼、海岸・浜辺・防波堤とその近辺では行わない
船該当する記載なしフェリー・遊覧船・交通船など、一般の乗客がいる船では行わない。一般の船客から見えないよう努める

どちらも法律ではありません。協会の基準が及ぶのは加盟事業者だけで、厚生労働省のガイドラインも事業者に自主的な遵守を求める文書です。1海里という線は、熱海市の約10km圏外や、伊東市の6海里(約11km)以内では行わないという指針と比べると、陸地からの距離がずっと短い基準です。同じ海洋散骨でも、事業者や出港する地域によって、守っている基準が違いうるということです。

条例の側でも、海域に触れるものが出てきています。三浦市の条例は、河川・湖沼や公園・道路・海岸などでの散骨を禁じる一方で、これらから海域を除外し、海域を含む散骨については、市長が別に定める指針を参照して産業等への影響を考慮するよう求めています(第18条第3項、2026年1月21日施行)。当サイトは、この指針そのものの内容を確認できていません。松島町の条例は「みだりに」焼骨を散布することを禁じていますが、条文に海と陸の区別は書かれておらず、海洋散骨がどう扱われるかは条文だけでは判断できません。散骨する海域の自治体に確認する必要があります。

依頼先に聞いておきたいのは2点です。どの基準に従い、陸地から何海里(何km)以上離れた海域で行うのか。出港地と散骨海域の自治体に、条例や指針があるかどうか。事業者を比べるときの質問は海洋散骨業者の選び方にまとめています。

散骨と改葬許可証の関係

墓じまいで取り出した遺骨を散骨する場合、改葬許可証は要るのか。法律上の「改葬」は「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」(第2条第3項)で、散骨はこの定義に含まれません。そのため許可証の扱いは自治体の運用に委ねられており、当サイトの自治体別データベース(970自治体を実査)でも、散骨を改葬先とする場合の案内を公式ページで確認できた自治体は13件にとどまります。いまお墓がある市区町村の窓口と散骨事業者の双方に、どの書類を求められるかを確認してください。許可証そのものの役割は改葬許可証とはで整理しています。

検討するときの実務チェックポイント

ここまでを踏まえると、散骨を現実の選択肢として考えるときの確認点は4つに整理できます。焼骨を粉状化すること(粉骨)を前提とする。場所のルール——自治体の条例・指針、海域の距離基準、土地の所有権——を確認する。事業者に依頼するなら、厚労省ガイドラインの項目(書面契約・明細・散骨証明書・海域の説明)を満たすかを確かめる。そして、家族・親族の心情面の合意を先に整えておく。最後の一つが、実はいちばん後を引きます。あとから「お参りする場所がない」という後悔につながりやすいためです。手元供養や一部分骨との組み合わせも含めて、先に話し合っておいてください。

よくある質問

回答は法令の条文・厚生労働省の公表文書・自治体の例規集で当サイトが確認できた範囲に限っています。個別の法的判断は行いません。

散骨は違法ですか?

散骨そのものを禁止する全国一律の法律はありません。遺骨の扱いを定める「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年)は、墓地への埋葬と焼骨の埋蔵・収蔵を規制しており、粉状にした焼骨を撒く行為への直接の規定がないためです。一方で「散骨は合法」と明言した法律・公式文書もなく、当サイトが条文・指針を確認できただけでも9自治体(長沼町・岩見沢市・秩父市・熱海市・伊東市・松島町・湯河原町・本庄市・三浦市)が条例や指針で散骨を規制しています。

「法務省が散骨を認めた」という話は本当ですか?

当サイトで出典をたどったところ、法務省の公式サイト上に該当する公式文書は見つかりませんでした。1991年に法務省が「節度をもって行われる限り違法ではない」との見解を示したとする説明は、当時の非公式な回答として報道や書籍を経由して伝えられている伝聞情報です。確認できない情報を根拠に「散骨は認められている」と断定することは、当サイトではしません。

散骨を規制する条例がある自治体はどこですか?

当サイトが自治体公式サイト・例規集で条文や指針を直接確認できたのは9例です。北海道長沼町(墓地以外での焼骨の散布を全面禁止・罰則あり)、北海道岩見沢市(散骨場以外での散骨を原則禁止)、埼玉県秩父市(墓地以外での散骨を原則禁止)、静岡県熱海市(海洋散骨は陸地から約10km圏外)、静岡県伊東市(陸地から6海里以内では行わない)。このほか、宮城県松島町(みだりに焼骨を散布することを禁止)、神奈川県湯河原町・埼玉県本庄市・神奈川県三浦市(いずれも散骨場の経営等を許可制)が条例で定めています。ここに挙げた以外にも規制や指針を持つ自治体はあるため、散骨を考えている土地の自治体に必ず確認してください。

散骨に改葬許可証は必要ですか?

法律上の「改葬」は、埋蔵した焼骨を「他の墳墓又は納骨堂に移すこと」(墓地、埋葬等に関する法律 第2条第3項)で、散骨は定義上この中に含まれません。そのため、墓じまいで取り出した遺骨を散骨する場合の改葬許可証の扱いは、自治体の運用によって異なります。いまお墓がある市区町村の窓口と、散骨事業者の双方に、どの書類を求められるかを確認してください。

散骨事業者を選ぶとき、何を確かめればよいですか?

厚生労働省が2021年に公表した「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」の項目が基準になります。焼骨を粉状にすること、陸上・海上それぞれで関係者や自然環境に配慮した場所を選ぶこと、契約を書面で行い費用の明細や解約規定を明らかにすること、散骨を行った証明書を交付すること。これらを明確に説明できる事業者かどうかは、依頼前に確かめられます。

次の一歩: 散骨を選択肢として比較する

違法か合法か。その二択で考えるより、うちの家族に合う供養の形かどうかで考えるほうが実りがあります。費用の目安や委託・合同・チャーターの違いは海洋散骨の記事に、樹木葬・納骨堂など他の選択肢との比較は改葬先7つの選択肢の比較にまとめました。お参りの場所を残したい気持ちが強いなら、散骨以外の改葬先や、一部だけを散骨する形も含めて考えてみてください。

事業者に依頼すると決めたら、次は依頼先をどう選ぶかです。船の許可・登録、賠償保険、散骨海域の決め方、粉骨込みか、散骨証明書、書面契約、天候中止の扱い。問い合わせ時に確かめる8項目は海洋散骨業者の選び方にまとめました。

PR

貸切(チャーター)散骨の問い合わせ先の一例

自社所有の船で1家族だけの貸切散骨を行う事業者です。散骨海域と条例・指針の扱いは、申し込む前に公式サイトと見積もりで確かめてください。他社にも同じ質問をして、答えを並べて比べることをおすすめします。

海洋記念葬 シーセレモニー(貸切散骨)確認できるもの: 貸切(チャーター)散骨の料金・粉骨込みの料金・対応海域を公式サイトで確認できます費用: 問い合わせは無料です。申し込みの前に見積もりで最新の条件を確かめられます問い合わせ後に起きること: 入力した電話番号に本人確認の連絡が入ります。LINEやWeb資料の請求だけでは相談は進みません公式サイトで問い合わせる(電話で本人確認あり)外部サイト(シーセレモニー)に移動します。

本ページには広告(アフィリエイト)を含みます

参照元

執筆・編集

大久保亮佑株式会社Kogera代表

生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)

墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。

墓じまい 完全ガイドブックの表紙完全ガイドブックを無料ダウンロード