改葬とは|墓じまいとの違い・法律上の定義・手続きの流れと費用の目安
執筆・編集: 大久保亮佑(株式会社Kogera代表/生前整理アドバイザー2級)
更新日: 2026年9月2日

改葬とは、いまのお墓や納骨堂にある遺骨を、別のお墓や納骨堂へ移すことです。法律上の正式な言葉で、日常語の「墓じまい」の中に含まれる手続きにあたります。お墓の引っ越し、と言い換えると近い。
厚生労働省の衛生行政報告例では、全国の改葬件数は2024年度に176,105件。2年前の151,076件から増え続けています(遺骨数ベースの集計で、墓じまいをしたお墓の基数ではありません)。
改葬とは何か(法律上の定義)
改葬という言葉は、墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)に定義があります。第2条第3項の文言はこうです。「この法律で『改葬』とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう」。
少し言葉を解きます。「墳墓」はお墓のこと。「埋蔵」は焼骨(火葬した遺骨)をお墓に納めること、「収蔵」は納骨堂に納めることです。つまり改葬とは、いまお墓や納骨堂にある遺骨を、別のお墓や納骨堂へ移すこと。土葬された遺体を別のお墓に移す場合も含まれますが、現在ほとんどの改葬は火葬済みの遺骨を移すケースです。
ここで大事なのは、改葬の主語が「遺骨」だという点です。墓石をどうするかは、法律上の改葬には含まれていません。この違いが、次の「墓じまいとの違い」につながります。
墓じまいとの違い、含まれるもの・含まれないもの
墓じまいは、法律用語ではなく日常語です。ふつう、いまのお墓の墓石を撤去して墓地を管理者に返し、取り出した遺骨を別の供養先へ移す、一連の流れ全体を指します。このうち「遺骨を移す」部分が改葬です。墓じまいの中に改葬が含まれる、という関係になります。
- 改葬に含まれるもの……いまのお墓・納骨堂から遺骨を取り出し、別のお墓・納骨堂(永代供養墓、樹木葬、納骨堂など)へ移すこと。市区町村長の許可が必要です。
- 改葬に含まれないもの……墓石の撤去・処分と墓地の返還(墓地の管理者との契約上の手続き)。閉眼供養(寺院との間で行う儀式)。これらは改葬許可証とは別に、それぞれの相手と段取りを決めて進めます。
- 改葬とは別の手続き……遺骨の一部だけを分けて別の場所に納める「分骨」は、改葬とは別の手続きです。分骨の手続きで整理しています。
遺骨を移す先が、お墓でも納骨堂でもない場合(自宅での保管など)に改葬許可がどう扱われるかは、自治体によって案内が異なります。当サイトでは一律の答えを示さず、いまお墓がある自治体の窓口にご確認いただくようご案内しています。
墓じまいという言葉そのものの捉え方、なぜ考える人が増えているのかは墓じまいとはで扱っています。
改葬に許可が必要な理由と、改葬許可証
改葬は、本人や家族の判断だけで進めることはできません。法律第5条第1項は「埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない」と定めています。遺骨の所在を公的に把握し、無断で移されることを防ぐための仕組みです。
許可を出すのは、第5条第2項により「死体又は焼骨の現に存する地の市町村長」。いまお墓がある自治体です。許可を与えるとき、市区町村長は改葬許可証を交付します(第8条)。そして新しい納骨先の管理者は、この改葬許可証を「受理した後でなければ」納骨させることができません(第14条)。申請する自治体、交付される許可証、提出する相手。この3つがつながって、改葬の手続きは完結します。
改葬許可証の取得方法・必要書類・手数料は改葬許可証とはで詳しく整理しています。亡くなったときに交付される埋葬許可証とは別の書類です。
改葬は増えているのか(厚生労働省の統計)
厚生労働省の衛生行政報告例によると、全国の改葬件数は2022年度151,076件、2023年度166,886件、2024年度176,105件。3年続けて増えています。
ただし、この数字の読み方には注意が要ります。衛生行政報告例の改葬件数は遺骨数ベース、つまり改葬許可証が交付された遺骨の数です。墓じまいをしたお墓の基数ではありません。1つのお墓に5体の遺骨があれば、5件と数えられます。「17万件の墓じまい」と読むのは誤りで、「17万体の遺骨が移された」が正確です。
それでも、改葬という選択が特別なものではなくなってきたことは、この推移から読み取れます。遠くて墓参りに行けない。継ぐ人がいない。同じ状況に立っている家庭は、思っているよりずっと多くあります。
改葬の手続きの流れ
改葬を含む墓じまい全体の流れは、おおむね次の順序です。手続きそのものより、その前の「話し合い」に時間がかかることが多いので、順番だけ先に知っておくと落ち着いて進められます。
- 家族と話す……誰が、いつ、何を切り出すか。決めるのはそこからで十分です。
- 遺骨の行き先を決める……永代供養墓、樹木葬、納骨堂など。改葬先の自治体ではなく、いまお墓がある自治体に申請する点に注意します。
- いまの墓地の管理者に伝え、埋蔵証明書をもらう……寺院墓地なら、この依頼が墓じまいを伝える場面になります。
- 改葬許可を申請し、改葬許可証を受け取る……申請書の記載事項は施行規則第2条で7項目が全国共通に定められています。窓口のほか郵送で受け付ける自治体が多く、当サイトの実査では149自治体のうち郵送「可」が84件でした。
- 遺骨を取り出し、墓石を撤去する……閉眼供養と石材店の工事。改葬許可証とは別に、管理者と日程を決めます。
- 新しい納骨先に改葬許可証を渡して納骨する……ここで改葬は完了します。
各段階でつまずきやすい点は墓じまいの流れ。6つのステップに、抜け漏れを防ぐ一覧はチェックリストにまとめています。
費用の目安:行政手数料の実情(149自治体を実査)
改葬の手続きそのものにかかる行政手数料は、大きな負担にはなりません。当サイトが自治体公式サイトを実査した149自治体(45都道府県)では、改葬許可証の手数料を「無料」と明記していたのが44件、有料が8件(1件あたり300円〜600円)。公式サイトに記載自体がないものが97件ありました。交付までの日数について記載があったのは43件で、即日交付相当が15件、1週間以上が17件です。
費用の大部分を占めるのは、行政手数料ではなく、墓石の撤去工事、閉眼供養やお布施、そして新しい供養先の費用です。総額の目安と内訳は墓じまいの費用相場で出典つきに整理しています。行政手数料の自治体差は改葬許可証の手数料をご覧ください。
よくある質問
法令の条文はe-Gov法令検索で、統計は厚生労働省 衛生行政報告例で確認しています。自治体の件数は当サイトが実査した149自治体のデータからの集計です。
改葬と墓じまいは同じ意味ですか?
重なる部分は大きいものの、同じではありません。改葬は法律用語で、遺骨をいまのお墓・納骨堂から別のお墓・納骨堂へ移すことを指します(墓地、埋葬等に関する法律 第2条第3項)。墓じまいは日常語で、墓石を撤去して墓地を返し、遺骨を別の供養先へ移す一連の流れを指します。墓じまいの中に、遺骨を移す手続きとしての改葬が含まれる、という関係です。
改葬には必ず許可が必要ですか?
必要です。墓地、埋葬等に関する法律 第5条第1項は「埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない」と定めています。許可を出すのは、遺骨が現在ある場所の市区町村長です(同条第2項)。許可を受けると改葬許可証が交付され、新しい納骨先はこれを受理してから納骨します(第14条)。
改葬をする人は増えていますか?
厚生労働省の衛生行政報告例によると、全国の改葬件数は2022年度151,076件、2023年度166,886件、2024年度176,105件と増えています。ただしこの数字は遺骨数ベース(移した遺骨の数)で、墓じまいをしたお墓の基数ではありません。1つのお墓から複数の遺骨を移せば、その分だけ件数が増えます。
改葬の手続きにお金はかかりますか?
改葬許可証の手数料は自治体によって異なります。当サイトが自治体公式サイトを実査した149自治体では、「無料」と明記していたのが44件、有料が8件(1件あたり300円〜600円)、公式サイトに記載がないものが97件でした。行政手数料は、墓じまい全体の費用(墓石の撤去、閉眼供養、新しい供養先など)の中ではごく一部です。
改葬をしないという選択もありますか?
あります。改葬をする、しない、いまは様子を見る。この3つに優劣はありません。遠方で通えない、継ぐ人がいない、家族で意見が分かれている。きっかけは家庭ごとに違い、答えを急ぐ必要もありません。制度を知ったうえで、家族と話す時間を持つ。それだけでも、漠然とした迷いは具体的な確認事項に変わっていきます。
次の一歩:まだ決めなくていい
改葬とは、遺骨を別のお墓・納骨堂へ移すこと。許可を出すのはいまお墓がある自治体で、許可証を新しい納骨先に渡して完了する。ここまで分かれば、言葉の段階で迷うことはなくなります。
改葬をする、しない、いまは様子を見る。この3つに優劣はありません。いきなり手続きに進む必要もありません。家族と話す、費用の目安を知る、自治体の窓口を確認する。この順に手をつけていくと、漠然とした迷いが、ひとつずつ具体的な確認事項に変わっていきます。自治体ごとの窓口・手数料・郵送可否は、改葬許可(自治体別)データベースでいつでも確認できます。
参照元
- 墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov法令検索)第2条・第5条・第8条・第14条〔2026年9月2日〕
- 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)第2条〔2026年9月2日〕
- 厚生労働省 法令等データベース「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年法律第48号)〔2026年9月2日〕
- 厚生労働省 衛生行政報告例(政府統計の総合窓口 e-Stat)改葬件数〔2026年9月2日〕
- 当サイト 改葬許可(自治体別)データベース(149自治体・45都道府県を実査)〔2026年9月2日〕

執筆・編集
大久保亮佑株式会社Kogera代表
生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)
墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。