墓じまいの流れ。6つのステップと順序を整理
執筆・編集: 大久保亮佑(株式会社Kogera代表/生前整理アドバイザー2級)
更新日: 2026年8月6日
墓じまいを考え始めたとき、まず全体の流れが見えないことが不安のもとになります。何から手を付けるのか、どこで時間がかかるのか——先に地図を持っておくと、ひとつずつ落ち着いて進められます。
大きくは6つのステップです。行政手続きの部分は意外に軽く、当サイトが自治体公式サイトを実査した149自治体では、改葬許可証の交付は即日相当としている自治体が15件ありました。時間がかかるのは、むしろ書類の前にある「家族との話し合い」と「行き先選び」です。
全体の流れ: 6つのステップ
墓じまい(改葬)は、遺骨を移すために市区町村長の許可が必要な、法律に基づく手続きです(墓地、 埋葬等に関する法律 第5条)。そのため流れの骨格は全国共通で、次の6つのステップに整理できます。
- 家族・親族と話し合う
お墓は家族・親族の共有の記憶に関わるため、最初の一歩は書類ではなく話し合いです。ここで合意が取れていないと、後の工程がすべて止まります。 詳しくは話の切り出し方の記事をご覧ください。 - 遺骨の行き先(改葬先)を決める
納骨堂・樹木葬・永代供養墓・散骨・手元供養など、選択肢ごとに費用と供養の形が異なります(散骨は熱海市・伊東市など自治体条例による制限があるため、実施エリアの条例確認が前提です)。改葬許可申請書には「改葬の場所」を記載する欄があるため、行き先が決まっていないと申請できません。 詳しくは7つの選択肢の比較記事をご覧ください。 - いまの墓地の管理者に伝え、埋蔵証明書をもらう
寺院・霊園・自治体など、いまのお墓の管理者に改葬の意向を伝え、埋蔵(収蔵)の事実を証明する書面を発行してもらいます。この証明書は改葬許可申請の法定の添付書類です。 - 市区町村へ改葬許可を申請する
いまお墓がある市区町村に、遺骨1体ごとに改葬許可を申請します。記載事項は法令で全国共通に決まっており、手数料は無料〜数百円の自治体がほとんどです。 詳しくは申請書の書き方の記事をご覧ください。 - 閉眼供養・遺骨の取り出し・墓石の撤去
許可証を受け取ったら、閉眼供養(宗派・地域により呼び方が異なります)を行い、遺骨を取り出し、石材店が墓石を撤去して区画を更地に戻します。 - 新しい供養先へ納骨する
改葬許可証を新しい供養先の管理者に提出して納骨します。許可証は納骨時に必要になるため、それまで大切に保管してください。
なお、この流れの途中で「やはり今回はやめておく」「時期を改める」という判断になることもあります。 それも失敗ではなく、家族で話し合った結果としての、同じ重さの結論です。
順序を間違えやすい2つのポイント
第一に、改葬先を決める前に申請へ行かないこと。改葬許可申請書には法令上 「改葬の場所」の記載欄があり(施行規則第2条)、行き先が決まっていないと書類が完成しません。 また当サイトが実査した範囲では、改葬先の受入証明書の添付を求める自治体も少なくありません。 ステップ2が先、ステップ4が後、という順序は制度上の必然です。
第二に、いまの墓地の管理者への相談を後回しにしないこと。埋蔵証明書は法定の 添付書類のため、管理者の協力なしに手続きは進みません。特に寺院墓地の場合、証明書の依頼は そのまま「墓じまいの意思を伝える場面」になります。書類の話の前に、これまでの供養への感謝と あわせて意向を伝える、という順序が話し合いを穏やかにします。離檀にまつわる事情は離檀のディレクトリで整理しています。
期間はどのくらいかかるか
全体の所要期間について、信頼できる公的統計は存在しません。そのため当サイトでは「合計◯か月」と いった断定はせず、ステップごとに時間が読める部分と読めない部分を分けてお伝えします。
時間が読めるのは行政手続きです。当サイトが実査した149自治体のうち、処理日数の 記載があった43件では、即日交付相当が15件、1週間以上と 明記していたのが17件でした。郵送申請が可能な自治体も83件あり、 窓口が遠方でも進められます。書類さえ揃えば、この部分は数日〜数週間の世界です。
時間が読めないのは、家族との話し合い(ステップ1)、改葬先選び(ステップ2)、そして寺院との 話し合い(ステップ3)です。ここは急がせるものではなく、むしろ時間をかけてよい部分です。 お盆やお彼岸など家族が集まる機会を節目として使うと、無理のない進み方になります。石材店の 工事(ステップ5)は、霊園の指定業者の有無や時期によって待ち時間が変わるため、見積もりの際に あわせて確認しておくと安心です。
次の一歩: 今日できることから
6つのステップのうち、今日から始められるのはステップ1の準備です。いま、何かを決める必要は ありません。まずはこの記事を家族に共有して、「こういう流れになるらしい」という地図を共通の 手元に置くところからで十分です。
費用の全体感を先に知っておきたい場合は、費用相場の記事で内訳と目安を確認できます。お住まいの自治体の手続き情報(窓口・手数料・郵送可否)は、自治体別データベースに出典・確認日つきでまとめています。
この記事の根拠
- 墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov法令検索)第5条・第8条〔2026年8月6日〕
- 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)第2条〔2026年8月6日〕

執筆・編集
大久保亮佑株式会社Kogera代表
生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)
墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。 掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。