墓じまい後の遺骨はどうする|改葬先7つの選択肢を費用・選択率・戻せるかで比較(鎌倉新書2026年調査)
執筆・編集: 大久保亮佑(株式会社Kogera代表/生前整理アドバイザー2級)
更新日: 2026年9月2日
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墓じまい後の遺骨の行き先は、合祀墓・樹木葬・納骨堂・永代供養墓・海洋散骨・手元供養・一般墓の7つです。鎌倉新書の全国実態調査(2026年、n=1,267)では樹木葬が47.4%で最多。費用の目安は5千円から300万円まで開きがあります。
「お墓を継ぐ人がいない」「今のお墓をどうにかしたい」。そう考え始めたとき、最初に立ちはだかるのが選択肢の多さです。他の6つにも、費用を抑えやすい、お参りの形が残る、承継者が要らないといった持ち味があります。まずは全部を並べて眺めるところからです。
改葬先ごとの費用の目安(全幅)
5千円 〜 300万円
どの改葬先を選ぶかで、費用は数十万円〜100万円以上の差になります。詳しい内訳は種類ごとの記事でご確認ください。
- 合祀墓・合葬墓
- 3万円〜30万円/体
- 樹木葬
- 5万円〜100万円
- 納骨堂
- 20万円〜150万円
- 一般墓への引っ越し
- 100万円〜300万円
この記事の要点
先に要点だけ表にします。費用の目安は出典欄の相場情報、選択率は鎌倉新書の2026年調査、手続きの件数は当サイトの実査データからの転記で、推測は含みません。
| 項目 | 分かっていること | 根拠 |
|---|---|---|
| 最も選ばれている改葬先 | 樹木葬 47.4%。次いで合祀墓・合葬墓 16.4%、納骨堂 15.5%、一般墓 15.2% | 鎌倉新書 第17回お墓の消費者全国実態調査(2026年、n=1,267) |
| 費用の全幅 | 5千円(手元供養)〜300万円(一般墓への引っ越し) | お墓ガイドほか(research/07 費用モデル一次調査) |
| 平均購入価格 | 一般墓 152.0万円/納骨堂 81.5万円/樹木葬 71.7万円 | 鎌倉新書 同上 |
| あとから戻せない改葬先 | 合祀墓・海洋散骨(個別型の樹木葬・納骨堂・永代供養墓も個別安置期間の終了後は合祀) | 各選択肢の記事 |
| 改葬先を先に決める必要がある自治体 | 改葬許可申請で受入証明書を求めるのは 36件(必要書類を確認できた148件の約24%) | 当サイト実査 149自治体・45都道府県 |
| 改葬許可証の提出先 | 新しい納骨先の管理者。受理後でなければ埋蔵・収蔵できない | 墓地、埋葬等に関する法律 第14条 |
改葬先は大きく7つに分かれる
墓じまいで取り出した遺骨の行き先は、大きく7つに分かれます。合祀墓・合葬墓、樹木葬、納骨堂、永代供養墓(専用施設)、海洋散骨、手元供養、そして一般墓への引っ越し(新規墓石建立)。同じ「改葬先」の一語でくくられていますが、費用の水準も、お参りする場所が残るかどうかも、承継者が要るかどうかも、中身はかなり違います。
正解が一つに決まっているわけではありません。家族の考え方や状況によって、向き・不向きは変わります。まずは7つを並べて眺めてみてください。合祀墓・合葬墓のうち自治体が運営するものは民間とは申込資格や募集時期の決まり方が違うため、市営墓地の合葬墓を改葬先にする場合の使用料・市民要件・募集時期を別の記事で整理しています。
費用・選択率・戻せるかの比較表
費用の目安と、鎌倉新書の全国実態調査(2026年、n=1,267)で確認できた選択率、そしてあとから遺骨を取り出せるかを並べました。同調査に独立した集計区分がない永代供養墓・海洋散骨・手元供養は、選択率を「統計データなし」と記しています。数値のない欄を推測で埋めることはしません。
| 選択肢 | 費用の目安 | 選択率(鎌倉新書2026) | あとから戻せるか | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 合祀墓・合葬墓 | 3万円〜30万円/体 | 16.4% | 戻せない | 他の方の遺骨と同じ場所にまとめて埋蔵。費用を抑えやすい一方、個別に取り出すことはできません。 |
| 樹木葬 | 5万円〜100万円(型による) | 47.4%(最多) | 個別型は期間内のみ | 平均購入価格71.7万円。合祀型・集合型・個別型でタイプが分かれます。 |
| 納骨堂 | 20万円〜150万円 | 15.5% | 期間内は戻せる | 平均購入価格81.5万円。屋内施設で天候に左右されにくい一方、年間管理費が別途かかることがあります。 |
| 永代供養墓(専用施設) | 20万円〜100万円 | 統計データなし | 個別安置期間内のみ | 個別安置期間ののち合祀に移行する契約が中心。統計調査に独立区分がなく選択率は不明です。 |
| 海洋散骨 | 2万円〜30万円(方式による) | 統計データなし | 戻せない | 粉骨が原則必須。自治体によっては散骨に関する条例があり、事前確認が必要です。 |
| 手元供養 | 5千円〜10万円(高級品20万円〜30万円+) | 統計データなし | 戻しやすい | 自宅で安置。全てを手元に置かない場合は残りの供養先が別途必要です。 |
| 一般墓への引っ越し | 100万円〜300万円 | 15.2% | 戻しやすい | 平均購入価格152.0万円。新規墓石建立込みの金額で、承継を前提とした形式です。 |
幅が最も広いのは樹木葬と納骨堂です。合祀型か個別型か、ロッカー式か自動搬送式かで、数十万円単位の差がつきます。同じ名前で案内されていても中身は別物です。パンフレットを見るときは、どのタイプを指しているのかまで確かめてください。
一般墓(平均152.0万円)が突出するのは、墓石代(平均101.7万円)と土地利用料(平均46.5万円)が両方かかるためです(鎌倉新書2026年調査)。残る6つは、いずれも墓石を新たに建てる前提ではありません。費用差の大半は、ここから来ています。
選ぶときに軸になる3つの問い
当サイトで整理した範囲では、選び分けに効いてくる問いは3つでした。
- 個別にお参りする場所を残したいか……樹木葬(個別型)・納骨堂・一般墓なら場所が残ります。合祀墓と海洋散骨には個別の場所がなく、永代供養墓は一定期間ののち合祀へ移ります。
- 承継者を必要とする形式か……代々受け継ぐことを前提としているのは一般墓です。樹木葬・納骨堂・永代供養墓・合祀墓・海洋散骨・手元供養は、承継者がいなくても契約・実施できることが多くなっています。
- 費用をどこまで抑えたいか……低い側にあるのが手元供養(ミニ骨壷)・合祀墓・海洋散骨(委託代行)。個別性を長く残そうとするほど、費用は上がります。
優先したいことから絞り込む
費用を最優先するなら、合祀墓(3万円〜/体)、海洋散骨の委託代行(2万円〜/体)、手元供養(5千円〜)。自然の中で、季節の移ろいを感じながら手を合わせたいなら樹木葬。天候に左右されず屋内で参拝したいなら納骨堂です。供養を引き継ぐ主体をはっきりさせておきたい場合は、場所の形式ではなく、永代供養という契約の仕組みのほうから探す選び方もあります。
自宅でそばに置いておきたいなら手元供養、代々受け継ぐ形を残したいなら一般墓への引っ越しです。どれか一つに決めきる必要はありません。一部を手元供養にして、残りを別の供養先に納める方もいます。
家族の中で優先したいことが割れたときは、それぞれが重視する点を紙に書き出してみてください。費用・お参りの場所・承継者の要否の3軸で点をつけると、意見の食い違いがどこにあるのかが見えてきます。
「戻せるか」で見た場合の違い
見落とされやすいのが、あとから戻せるかどうかです。合祀墓と海洋散骨は、一度実施すると個別に遺骨を取り出すことが基本的にできません。樹木葬・納骨堂・永代供養墓の個別型(個別安置期間あり)は、期間内であれば個別のままです。ただし期間が終われば合祀へ移る契約が多く、その先は同じく取り出せなくなります。
一般墓と手元供養は、あとから別の形に移しやすい部類です。ただし手元供養でも、全てのご遺骨を手元に置かないのであれば、残りの供養先が別に要ります。急いで決めなければならない性質のものではありません。迷っているなら、戻しやすいほう——一般墓の維持や手元供養——を選んで様子を見る進め方もあります。海洋散骨を考えるなら、条例で規制する自治体があることも含めて散骨の法規制の記事を先にご覧ください。
2026年の調査で見える傾向
選択率の数字は調査主体と回答者層で変わります。鎌倉新書の第4回改葬・墓じまい実態調査(2026年1月調査、n=733、いいお墓経由の資料請求者)では、墓じまいの費用は「31万〜70万円」が最多で、実施時の課題として「引っ越し先選び」と「役所の手続き」が挙がりました。改葬先を決めることと、改葬許可の手続きが、同じくらい悩みの種になっているということです。
墓じまいパートナーズの実態調査2026(2026年3月、n=230)では供養先の1位が「永代供養墓」で48.7%。鎌倉新書調査で最多だった樹木葬とは区分の切り方が違うため、単純に比べられませんが、「承継者を要しない形」が多数派になっている点は共通しています。終活協議会の調査(2026年6月、n=860、終活ガイド資格者)でも、供養先の希望は永代供養・樹木葬・散骨・手元供養の合計が53.5%で、一般墓の23.3%を上回りました。
改葬先の決定と改葬許可申請の順序
改葬先を決めることは、手続きの順序にも関わります。いまお墓がある市区町村に出す改葬許可申請で、改葬先の受入証明書(使用許可証等の相当書類)を必要書類に挙げる自治体があるからです。当サイトが公式サイトを実査した149自治体のうち、必要書類の記載を確認できた148件では36件(約24%)がこれに当たります。受入証明書を求める自治体では、先に改葬先と契約してから申請する順序になります。
交付された改葬許可証は、新しい納骨先の管理者に提出します。墓地、埋葬等に関する法律 第14条は、管理者は許可証を受理した後でなければ埋蔵・収蔵をさせてはならないと定めています。ご自身の自治体で受入証明書が要るかどうかは自治体別データベースで、許可証の役割は改葬許可証とはで確認できます。
選択肢ごとの詳しい記事
費用の内訳、タイプ別の違い、見学時に確かめたいこと。それぞれの選択肢については、種類ごとの記事で掘り下げています。気になるものが絞れてきたら、そちらもご覧ください。
- 合祀墓とは何か。費用とメリット・注意点を整理して解説
- 樹木葬とは。費用相場とタイプ別の選び方を出典つきで整理
- 納骨堂の種類と選び方。型ごとの費用相場を出典つきで整理
- 永代供養とは。費用の仕組みと個別安置期間を整理
- 海洋散骨の種類と費用相場。委託・合同・チャーターを比較
- 手元供養とは。費用の目安と注意点を整理
2つで迷っているなら、比較記事もあります。樹木葬と納骨堂の違い、樹木葬と永代供養の違い、納骨堂と永代供養墓の違い、海洋散骨と樹木葬の違いを、費用と特徴の両面から整理しました。
よくある質問
回答中の選択率・平均価格は鎌倉新書の2026年調査、自治体の件数は当サイトが実査した149自治体(45都道府県)のデータからの転記です。
墓じまいの後、遺骨はどこに移すのが一般的ですか?
鎌倉新書の第17回お墓の消費者全国実態調査(2026年、n=1,267)では、樹木葬が47.4%で最多、合祀墓・合葬墓16.4%、納骨堂15.5%、一般墓15.2%でした。永代供養墓・海洋散骨・手元供養は同調査に独立した集計区分がなく、選択率は不明です。多数派だから正解というものではなく、お参りの場所を残したいか、承継者を必要とするか、費用をどこまで抑えたいかで向き不向きが変わります。
改葬先ごとの費用はどのくらい違いますか?
目安の全幅は5千円(手元供養のミニ骨壷)から300万円(一般墓への引っ越し)です。合祀墓は1体3万円〜30万円、樹木葬は5万円〜100万円、納骨堂は20万円〜150万円、海洋散骨は2万円〜30万円。鎌倉新書2026年調査の平均購入価格は一般墓152.0万円、納骨堂81.5万円、樹木葬71.7万円で、一般墓が突出するのは墓石代(平均101.7万円)と土地利用料(平均46.5万円)が両方かかるためです。
あとから遺骨を取り出せる改葬先はどれですか?
合祀墓と海洋散骨は、一度実施すると個別に遺骨を取り出すことが基本的にできません。樹木葬・納骨堂・永代供養墓の個別型は、個別安置期間内なら個別のままですが、期間が終われば合祀へ移る契約が多く、その先は取り出せなくなります。一般墓と手元供養は、あとから別の形に移しやすい部類です。迷っているなら、戻しやすい選択肢で様子を見る進め方もあります。
改葬先は、改葬許可申請の前に決めておく必要がありますか?
自治体によります。当サイトが公式サイトを実査した149自治体のうち、必要書類の記載を確認できた148件では、改葬先の受入証明書(使用許可証等の相当書類)を挙げていたのが36件(約24%)でした。受入証明書を求める自治体では、先に改葬先の契約を済ませてから申請する順序になります。交付された改葬許可証は新しい納骨先の管理者に提出します(墓地、埋葬等に関する法律 第14条)。
海洋散骨を選ぶ場合に気をつけることはありますか?
粉骨が原則必須で、条例や指針で散骨を規制する自治体があります(当サイトが条文を確認できた例は長沼町・岩見沢市・秩父市・熱海市・伊東市)。散骨は法律上の「改葬」の定義に含まれないため、改葬許可証の扱いも自治体の運用によります。厚生労働省の事業者向けガイドライン(2021年)が求める書面契約・費用の明細・散骨証明書の交付を満たす事業者かどうかが、選ぶときの基準になります。
次の一歩:費用を試算してみる
7つを並べると、費用の差だけで数十万円から100万円単位になります。文章だけで自分たちに近い金額を見積もるのは難しいので、条件を入れて幅を確かめられる費用シミュレーターを用意しました。撤去工事・供養儀式・行政手続きまで含めた総額の目安も出せます。
今すぐ結論を出す必要はありません。「する・しない・様子見」は、どれも同じ重さの選択です。まずは気になるものを2〜3個に絞り、詳しい記事を読む、見学に足を運ぶ。そのあたりから始めれば十分です。
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参照元
- 鎌倉新書 第17回お墓の消費者全国実態調査(2026年, n=1,267)〔2026年7月14日〕
- 鎌倉新書 第4回 改葬・墓じまい実態調査(2026年1月調査, n=733)〔2026年9月2日〕
- 墓じまいパートナーズ 墓じまい実態調査2026(2026年3月, n=230)〔2026年9月2日〕
- 終活協議会 墓じまいと供養先の再選択に関する実態調査(2026年6月, n=860)〔2026年9月2日〕
- お墓ガイド(供養先ごとの費用相場)〔2026年7月14日〕
- 森の庵(海洋散骨の費用相場)〔2026年7月14日〕
- Admire Garden(手元供養の費用の目安)〔2026年7月14日〕
- 墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov法令検索)第2条・第14条〔2026年9月2日〕
- 当サイト 改葬許可(自治体別)データベース(149自治体・45都道府県を実査)〔2026年9月2日〕

執筆・編集
大久保亮佑株式会社Kogera代表
生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)
墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。