お墓の名義人が亡くなった場合の改葬許可申請|承継が先か、承諾書か

大久保亮佑

執筆・編集: 大久保亮佑株式会社Kogera代表生前整理アドバイザー2級

更新日: 2026年9月8日

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お墓の名義人が亡くなっている場合の改葬許可申請。承継(名義変更)が先か、承諾書の代わりに戸籍で足りるかを、実査149自治体のうち扱いを公式に書いていた5自治体の文言で整理する図版

父の名義のまま、名義変更をしていないお墓。墓じまいをしたいけれど、そもそも自分に申請する資格があるのか。最初につまずくのは、たいていここです。法律は、申請者が墓地使用者本人でないときに「墓地使用者等の改葬についての承諾書」を求めます(墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第2条第2項第2号)。その承諾書に署名する本人が、もういない。

結論から言えば、申請の道はあります。ただし府中市のように「墓地使用者を変更してから」と承継(名義変更)を先に済ませる順序を案内する自治体があり、順番を間違えると手戻りになります。当サイトが実査した149自治体(45都道府県)のうち、名義人が亡くなっている場合の扱いを公式ページに書いていたのは5件でした。

要点:名義人が亡くなっているお墓の改葬許可申請

問い答え根拠
名義人が故人でも申請できるかできる。ただし「誰が申請者か」を先に決める施行規則第2条第1項第7号・第2項第2号
承継(名義変更)が先か先に求める自治体・墓地がある府中市「変更してから改葬の手続きを」・八王子市・明石市(合葬式墓地へ移す場合)
承諾書の代わりに何を出すか相続関係を示す戸籍など実査149自治体中、扱いを公式に記載 5件(鹿児島市・高松市・松戸市・尼崎市・西東京市
承継者は誰か祖先の祭祀を主宰すべき者(1人)。相続財産とは別枠民法第897条第1項
きょうだいで決まらないとき家庭裁判所が定める民法第897条第2項

自治体名は、その自治体が公式ページに明記していたことを示します。記載のない自治体で同じ扱いになるとは限りません。承諾に触れていた自治体は88件ある一方、名義人が亡くなっている場合まで書いていたのは5件です。

結論:申請はできる。ただし「承継が先」と案内する自治体がある

名義人(墓地使用者)が亡くなっていても、改葬許可の申請そのものが閉ざされるわけではありません。改葬許可の申請書には「申請者の住所、氏名、死亡者との続柄及び墓地使用者又は焼骨収蔵委託者との関係」を書く欄があり(施行規則第2条第1項第7号)、申請者が使用者本人でないことは、制度が最初から想定している形です。

問題は、その先。使用者本人でない人が申請するときに添える「承諾書」を、亡くなった名義人は書けません。ここで自治体の案内が分かれます。府中市は「現在の墓地使用者が亡くなられている場合は、現在の墓地で墓地使用者を変更してから改葬の手続きをしてください」と、承継(名義変更)を先に済ませる順序を明記しています。松戸市西東京市は、相続関係を示す戸籍を添えれば申請を受け付ける書き方です。どちらの型の自治体・墓地に当たるかで、最初にやることが変わります。

先に承継を求める墓地で、戸籍だけ揃えて窓口に行けば「名義変更が先です」と戻される。逆に、戸籍で足りる自治体で承継手続きを待っていれば、その分だけ全体が遅れる。順番を知ってから動く、というのがこの記事の要点です。

なぜ順番が問題になるか:承諾書は「使用者本人」のもの

根拠は施行規則第2条第2項第2号です。申請書に添付する書類として、「墓地使用者等以外の者にあつては、墓地使用者等の改葬についての承諾書又はこれに対抗することができる裁判の謄本若しくは裁判の内容を記載した書面であつて裁判所書記官が当該書面の内容が当該裁判の内容と同一であることを証明したもの」を挙げています。承諾書を書くのは「墓地使用者等」、つまり名義人本人。代わりに認められているのは裁判の謄本だけで、「相続人の承諾書」という選択肢は条文にありません。

当サイトが実査した149自治体のうち、申請者が使用者でないときの承諾(承諾書・申請書内の承諾欄)に公式ページで触れていたのは88件。多くは「申請者と墓地使用者が異なる場合」という条件つきで、使用者が存命であることを前提にした書き方です。三鷹市・山形市のように様式の注記で「承諾書または裁判の謄本」と、条文の後段までそのまま載せている自治体もあります。

名義人が亡くなると、この前提が崩れます。そこで自治体と墓地管理者は、①承継(名義変更)で「新しい使用者」を立ててから本人申請にする、②承諾書の代わりに相続関係を示す戸籍等で申請者の立場を確かめる、のどちらかで運用しています。法令に明文がないため、扱いは自治体・墓地ごとに決まります。

自治体の公式文言は3つの型に分かれる

2026年9月8日に公式ページ本文を読んで確認できた文言を、型ごとに並べます。

① 承継(名義変更)を先に求める型

府中市「現在の墓地使用者が亡くなられている場合は、現在の墓地で墓地使用者を変更してから改葬の手続きをしてください」。八王子市は「現在の墓地使用者が亡くなっているときは、墓地使用者名義の変更が必要な場合があります」と、必要になる場合があると書く形。公営墓地では鹿児島市が市営墓地について「使用者が亡くなっている場合は先に『使用者変更届』が必要」(2026年9月3日確認)と届出の名前まで示しています。明石市は一般墓地の返還手続きで「改葬先が石ケ谷墓園合葬式墓地の場合は、一般墓地の承継(名義変更)が必要です」と、改葬先によって承継の要否を分けています。承継を済ませたうえで公営の合葬墓に改葬する場合の使用料・申込資格・募集時期は、明石市を含む公営霊園を横断した別記事にまとめています。

② 相続関係を示す戸籍等で申請を受け付ける型

松戸市「墓地の使用権者(墓地使用承継者)が死亡している場合は、その死亡が確認できる戸籍全部事項証明書(謄本)とその方と申請者との相続関係が証明できる戸籍全部事項証明書(謄本)」。西東京市「使用者が亡くなられている場合は、相続人であることが確認できる戸籍謄本、遺言書等をご持参ください」。高松市は添付書類の一覧で「墓所使用者が死亡している場合」として、使用者の死亡が確認できる書類、使用者と申請者の続柄が確認できる書類、申請者の誓約書を挙げています。西尾市は「申請者が使用者である旨の申述書」と関係戸籍謄本を必要書類にしており(2026年7月29日確認)、申請者自身が使用者だと申し立てる形です。承諾書の代わりに「自分が承継者(相続人)である」ことを戸籍で示す考え方で、名義変更を済ませていなくても申請の入口が開いています。

③ 相続人全員の承諾を求める型・要相談型

武蔵野市「現在の墓地使用者が亡くなっている場合は、相続人全員の承諾が必要です」。承継者を1人に絞る代わりに、相続人全員が承諾する形で承諾書の趣旨を満たす運用です。相続人が多い、連絡の取れない人がいる、といった場合に時間がかかる型でもあります。尼崎市は手引きで、使用者の死亡等で承諾書が作成できない場合は「ご相談ください」とだけ案内しています。

当サイトの実査データで、名義人が亡くなっている場合の扱いを公式ページに書いていたのは次の5自治体です。

墓地使用者(名義人)がすでに亡くなっている場合の扱いを公式に案内していた自治体(当サイト実査データの原文)
自治体公式ページの記載(原文)確認日・出典
鹿児島市市営墓地で使用者が亡くなっている場合は先に「使用者変更届」が必要2026年9月3日出典
高松市墓所使用者の承諾(改葬許可申請書の承諾欄に署名・押印)、使用者死亡時は死亡確認書類・続柄確認書類・申請者の誓約書2026年7月16日出典
松戸市墓地使用権者が死亡している場合は、死亡が確認できる戸籍全部事項証明書と相続関係を証明する戸籍全部事項証明書が必要です2026年9月3日出典
尼崎市使用者の死亡等で承諾書が作成できない場合は「ご相談ください」との案内のみ)2026年9月2日出典
西東京市使用者が故人の場合は相続関係を証明する戸籍謄本等2026年7月29日出典

残る144自治体は、案内ページに記載がありません。記載がないことは「戸籍で足りる」の意味でも「承継が先」の意味でもなく、窓口に聞いて初めて分かる、ということです。

承継とは:相続とは別枠で決まる(民法第897条)

「承継」という言葉が繰り返し出てきました。都立霊園の案内は「使用者を変更し、墓所を受け継ぐことを『承継』といいます」と定義しています。誰が受け継ぐのかを決めているのが、民法第897条です。

第1項「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する」。第2項「前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める」。

「前条の規定にかかわらず」の前条とは第896条、相続人が「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と定める相続の一般則です。お墓(墳墓)と仏壇・位牌(祭具)は、この相続の枠から外れています。相続人が預金や不動産を分けるのとは別に、故人の指定があればその人、なければ慣習で「祭祀を主宰すべき者」が決まる。相続放棄をしても、この承継とは別の話になります。自治体の案内に出てくる「祭祀を主宰する方」「墓地使用承継者」は、この条文の人を指しています。

承継者が決まったら、次は墓地の管理者への届出です。公営墓地なら自治体(または管理を委託された団体)に承継届を出し、新しい名義の使用許可証を受け取る。寺院墓地・民営霊園なら、管理者が定める名義変更の手続きを踏む。ここまで済んで初めて、承継者は「墓地使用者本人」として改葬許可を申請できます。

名義変更(承継)の届出:公営墓地で求められる書類

承継の届出に何が要るかは墓地ごとに決まっており、当サイトが公式資料で確認できたのは公営墓地の例です。寺院墓地・民営霊園の名義変更は管理者ごとに異なり、当サイトに一次データがないため、直接の確認をお願いします。

公営墓地の承継(名義変更)で求められる書類の例(公式資料からの転記・2026年9月8日確認)
墓地承継者の条件・定義書類(原文の要点)手数料など
都立霊園(東京都公園協会)「1.祭祀主宰者であること 2.原則として使用者の親族であること」実印と印鑑登録証明書、戸籍謄本、霊園使用許可証。使用者が亡くなり承継者の指定がない場合は「1.使用者の死亡記載の戸籍謄本類 2.祭祀を主宰していることが確認できる書類(使用者の葬儀一式費用の領収書、法事の施行証明(寺社等公印付き)等)の原本」「手数料2,000円 ※現金でご用意ください。 ※手数料は、令和8年4月現在のものです。」
松戸市営白井聖地公園「承継者(※使用者の死亡により祭祀を主宰すべき地位を承継した方)」①使用許可承継届出書・誓約書 ②墓地使用許可証 ③戸籍謄本(承継者を含む全員が記載されているもの) ④住民票 ⑤死亡届の写し等(前使用者の死亡日が確認できるもの) ⑥その他市長が必要と認める書類。「申請は承継者が届出してください」原則来庁・来園(難しい場合は予防衛生課へ相談)
鹿児島市営墓地(返還届の場合)—(返還の届出人)使用者死亡のときのみ「家系図」と、「(1)使用者と届出人の関係が確認できるもの。(2)使用者の配偶者及び子が確認出来るもの。使用者の子が死亡している場合はその配偶者及び子(使用者の孫)が確認できるもの。(3)使用者の死亡日及び上記(2)の親族で死亡者がいる場合、その方の死亡日の記載があるもの」を満たす戸籍謄本等

3例に共通するのは、亡くなった使用者の死亡が分かる戸籍と、承継者(届出人)との関係が分かる戸籍です。都立霊園はそれに加えて「祭祀を主宰していること」を葬儀費用の領収書や法事の施行証明で確かめ、鹿児島市は配偶者・子・孫まで含む家系図で、ほかに承継しうる親族がいないかを見ています。名義人が亡くなってから年月が経っているほど、集める戸籍の数は増えます。

都立霊園のよくあるご質問は、使用者(名義人)が亡くなったときについて「変更理由や名義を変更される方がどなたかによって書類が異なりますので、必ず事前に最寄りの霊園事務所、公益財団法人東京都公園協会霊園課にご確認ください」と案内しています。書類は一律ではなく、承継者と故人の関係で変わる。届出の前に一度、管理者に相談する順序が公式にも示されています。

相続人が複数いるとき:承継者は1人、決まらなければ家庭裁判所

民法第897条が定める承継者は、「祖先の祭祀を主宰すべき者」。条文上、複数の相続人で共有する形ではなく、1人です。きょうだいが3人いて、誰が承継するか決まっていないお墓は、名義変更の届出ができません。届出人を1人に決めることが、承継の前提になります。

決め方の順番は条文どおりです。まず故人の指定(遺言など)。指定がなければ慣習。慣習が明らかでなければ、家庭裁判所が定める。話し合いで決まれば届出に進めますし、決まらなければ家庭裁判所の調停・審判という出口が条文に用意されています。

自治体の運用もこの構造に沿っています。武蔵野市の「相続人全員の承諾」は、承継者を1人に確定させる代わりに、相続人の誰も反対していないことを全員の承諾で確かめる形。松戸市・西東京市の「相続関係を証明する戸籍」は、申請者が相続人の1人であることを示す形です。どちらも、相続人の間で争いがない状態を前提にしています。争いがあれば、施行規則が承諾書の代わりに認める「裁判の謄本」の出番になります。

当サイトは、誰が承継者になるべきか、きょうだいとどう話をつけるか、といった個別の判断には立ち入りません。制度としての出口は家庭裁判所であり、その前段の相談先は弁護士・司法書士などの専門家です。家族の中で「誰が決めていいのか」を整理する考え方は権利関係——誰が決めていいのかに、話し合いの温度差については家族間の温度差への向き合い方にまとめています。

順番の整理:承継 → 名義変更 → 埋蔵証明 → 改葬許可 → 撤去

承継を先に求める自治体・墓地に当たった場合の順番を、待ちが発生する場所とあわせて並べます。戸籍で足りる自治体なら、①②を飛ばして③から始められます。

  1. ① 承継者を決める(民法第897条)。故人の指定 → 慣習 → 家庭裁判所の順。ここが決まらないと先に進みません。
  2. ② 墓地の管理者に名義変更(承継)を届け出る。使用者の死亡が分かる戸籍、承継者との関係が分かる戸籍、使用許可証など。待ち:戸籍の取り寄せと、管理者側の審査・新しい使用許可証の交付。都立霊園のよくあるご質問は、承継手続の申請中は口座振替の手続きができず「お手元に使用許可証が届いてから」としており、交付までに期間があることが分かります。日数は公式資料に記載がなく、管理者に確認してください。
  3. ③ 埋蔵証明を受ける。いまの墓地の管理者に、遺骨が納められている事実の証明(改葬許可申請書の証明欄または別紙)をもらいます。公営墓地では自治体自身が管理者なので、使用許可証の提示で足りる運用もあります(市営墓地からの改葬許可申請)。待ち:寺院の場合、住職の都合と閉眼供養の日取り。
  4. ④ 改葬許可を申請する。承継が済んでいれば、新しい使用者本人としての申請で承諾書は不要。承継を経ない自治体なら、相続関係の戸籍等を添えて申請します。申請先は遺骨がいまある市区町村。待ち:即日交付の自治体から1週間以上の自治体まで幅があります(手数料と交付日数)。
  5. ⑤ 遺骨を取り出し、墓石を撤去し、区画を返還する。公営墓地では返還届が改葬許可申請と同時に必要な例(鹿児島市)や、使用者死亡時に家系図・戸籍を求める例があります(市営墓地の返還・撤去)。

戸籍の取り寄せは②③④のどこでも出てきます。2024年3月からは本籍地以外の窓口でも戸籍・除籍を請求できますが、対象は本人・配偶者・直系の親族に限られ、郵送や代理人による請求はできません。名義人が祖父母や親なら直系なので使えますが、おじ・おばの名義だった場合は本籍地に郵送で請求することになります。取り方の詳細は家族が代わりに申請する記事で整理しています。

名義変更を求めない例もある:先に窓口へ

承継を先に、と書いてきましたが、すべての墓地がそうではありません。明石市の一般墓地は「使用者(名義人)がすでに死亡されており、焼骨を別の墓地等へ改葬される場合は、親族の方が代理で手続きができます」と、返還までを親族の手続きで進められる形です(このとき「使用者(亡)と代理の方の続柄が確認できる戸籍謄本等(除籍・改製原戸籍)」を添えます)。松戸市・西東京市・高松市は、改葬許可の申請を戸籍で受け付けています。八王子市の「必要な場合があります」は、場合によって分かれることを正直に書いた文言です。

つまり、名義変更をしないまま墓じまいまで進められる墓地もあれば、名義変更が終わるまで申請を受けない墓地もある。どちらかは、案内ページに書いていない144自治体では聞くまで分かりません。名義人が故人だと分かった時点で、いまの墓地の管理者と、改葬許可を出す市区町村の窓口の両方に、次の3点を伝えるのが早道です。名義人が亡くなっていること、名義変更をしていないこと、自分と名義人の続柄。返ってくる答えで、①承継が先か、②戸籍で申請できるか、③相続人全員の承諾が要るか、が決まります。

成年後見人が申請する場合も、承諾書ではなく立場を示す書類の話になります。府中市は「成年後見登記記載事項証明書の原本(発行後3か月以内)、登記事項証明書に記載されている後見人の本人確認書類(運転免許証の写し等)を申請書と一緒に提出してください」と案内しています。

よくある質問

回答中の自治体の文言は、当サイトが2026年9月8日に各自治体・運営者の公式ページ本文を読んで転記したものです。件数は実査した149自治体(45都道府県)のデータからの集計です。

お墓の名義人が亡くなっていて名義変更もしていません。子の私が改葬許可を申請できますか?

申請の道はありますが、誰が申請者になるかを先に決める必要があります。法律は、申請者が墓地使用者本人でないときに使用者の承諾書を求めるため(墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第2条第2項第2号)、名義人が亡くなっていると承諾書が作れません。府中市は「現在の墓地使用者が亡くなられている場合は、現在の墓地で墓地使用者を変更してから改葬の手続きをしてください」と承継を先に案内し、松戸市・西東京市・高松市は相続関係を示す戸籍等で受け付ける旨を書いています。当サイトが実査した149自治体で扱いを公式に書いていたのは5件で、多くの自治体は記載がないため、いまお墓がある市区町村の窓口に「名義人が故人である」ことを先に伝えるのが確実です。

お墓の承継(名義変更)は相続の手続きとは違うのですか?

違います。お墓(墳墓)と仏壇・位牌などの祭具は、民法第897条により「前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する」と定められており、相続人が財産を分ける相続(第896条)とは別の枠組みです。故人が指定した人がいればその人、指定がなければ慣習で決まり、慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定めます。承継者が決まったら、墓地の管理者に名義変更(承継)の届出をし、新しい名義で使用許可証を受け取ります。この届出の書類は墓地ごとに決まっています。

きょうだいで誰が承継するか決まりません。改葬許可の申請は止まりますか?

承継者が決まらないと、名義変更も、承継者としての改葬許可申請も進みにくくなります。民法第897条第2項は「慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める」としており、話し合いで決まらない場合の出口は家庭裁判所の調停・審判です。武蔵野市のように「現在の墓地使用者が亡くなっている場合は、相続人全員の承諾が必要です」と、承継者を1人に絞る代わりに相続人全員の承諾で受け付ける運用を公式に書く自治体もあります。当サイトは個別の相続や承継の判断には立ち入りません。相談先は弁護士・司法書士などの専門家、または家庭裁判所の手続案内になります。

承諾書の代わりに何を出せばよいですか?

自治体が公式に示している例では、松戸市は「墓地の使用権者(墓地使用承継者)が死亡している場合は、その死亡が確認できる戸籍全部事項証明書(謄本)とその方と申請者との相続関係が証明できる戸籍全部事項証明書(謄本)」、西東京市は「使用者が亡くなられている場合は、相続人であることが確認できる戸籍謄本、遺言書等をご持参ください」、高松市は使用者の死亡と続柄を確認できる書類に加えて申請者の誓約書を挙げています。承諾書の代わりに「自分が承継者(相続人)である」ことを戸籍で示す考え方です。実査149自治体のうち、こうした扱いを公式に書いていたのは5件でした。

名義変更をせずに、そのまま墓じまい(返還)まで済ませられる墓地はありますか?

運営者によります。明石市の一般墓地の返還手続きでは「使用者(名義人)がすでに死亡されており、焼骨を別の墓地等へ改葬される場合は、親族の方が代理で手続きができます」と案内する一方、「改葬先が石ケ谷墓園合葬式墓地の場合は、一般墓地の承継(名義変更)が必要です」と、改葬先によって承継の要否を分けています。鹿児島市は市営墓地の返還届で、使用者が死亡している場合に家系図と使用者の配偶者・子(子が亡くなっていれば孫)まで確認できる戸籍を求めています。名義変更を省ける場合でも、相続関係を示す書類は結局必要になることが多いため、先に墓地の管理者と改葬許可の窓口の両方に確認してください。

次の一歩

いまお墓がある自治体の窓口・担当課・必要書類は自治体別データベースに出典・確認日つきで載せています。承継が済んで本人として申請するなら申請書の書き方、そもそも改葬許可が要る動きなのかを確かめるなら改葬許可は必要?不要?をどうぞ。当サイトは制度の一般的な解説と公式情報への案内を行うもので、承継者の判断や申請の代理は行いません。

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参照元

大久保亮佑

執筆・編集

大久保亮佑株式会社Kogera代表

生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)

墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。

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