墓じまいの挨拶状は親族・お寺・管理者で分ける|文例4本と出す順番
執筆・編集: 大久保亮佑(株式会社Kogera代表/生前整理アドバイザー2級)
更新日: 2026年10月1日

墓じまいを決めたあと、次に足が止まるのは「誰に、どう伝えるか」です。話し合いに加わらなかった親族、長く連絡を取っていない親戚、世話になってきた寺院や霊園の管理者。同じ文面を全員に送るわけにはいきません。
ここでは相手を4つに分け、文例を4本つくりました。文例は当サイトの作例で、「正式な書式」と呼べるものではありません。使えそうな言い回しを持っていってください。
この記事の要点
| 法令上の位置づけ | 挨拶状は法定の書類ではない。改葬許可の申請に要るのは、管理者の証明と、申請者が使用者本人でないときの承諾書 |
|---|---|
| 分ける相手 | 近しい親族/疎遠な親族/寺院/霊園・墓地の管理者。文例は4本 |
| 出す順番 | 家族内の方針→親族への報告→管理者への相談と証明の依頼→改葬許可→閉眼供養。親族と管理者のどちらが先かに決まりはない |
| 手紙かメールか | 改まった相手には封書、近しい親族への一報はメール・LINEも使える、という案内が事業者サイトに見られる。決まりではない |
挨拶状と、改葬許可に要る書類は別のもの
先に線を引いておきます。墓じまいの挨拶状は、法令が求める書類ではありません。出さなくても、改葬許可の申請はできます。
改葬許可の申請に添えるものとして施行規則が挙げているのは、墓地・納骨堂の管理者が作る「埋葬・埋蔵・収蔵の事実を証する書面」と、申請者が墓地使用者でないときの「使用者の承諾書」です(第2条)。挨拶状はこのどちらにもなりません。逆に、承諾書を書いてもらうのは墓地使用者であって、親族全員の同意書を集めることまでは条文にありません。自治体が別の書類を求めることはあるので、窓口の案内も確認してください。書類の全体像は墓じまいの必要書類に、管理者が出す証明書の中身は受入証明書と埋蔵証明書の違いに分けて整理しています。
では挨拶状は何のためか。条文の外にある、人との関係のためです。お墓には、家族以外の人の記憶や気持ちも重なっています。あとから人づてに知った親族が引っかかるのは、たいてい決定の中身より「先に聞いていなかった」ことのほうです。誰が決めてよいのかという線引きは墓じまいは誰が決めるのかに、家族への切り出し方は話し合いの切り出し方にあります。
誰に、どの順番で伝えるか
相手は大きく4つに分かれます。目的が違うので、文面も出す時期も変わります。表の「出す時期の目安」は、当サイトが手続きの前後関係から整理した目安で、出典のある決まりではありません。
| 相手 | 手紙の役目 | 出す時期の目安 | 文例 |
|---|---|---|---|
| 話を知っている近しい親族 | 決まった内容の報告。意見があれば聞く | 家族内で方針が固まったあと | 文例1 |
| 話に加わっていない・疎遠な親族 | 経緯の共有と、事前に連絡できなかったことへの一言 | 改葬先が決まったあと。または手続き完了後 | 文例2 |
| 寺院(寺院墓地の場合) | 長年のお礼と、相談の申し入れ | 改葬許可の申請の前。先に電話や訪問を入れる | 文例3 |
| 霊園・墓地の管理者 | 証明書面の依頼と、返還手続きの確認 | 改葬許可の申請の前 | 文例4 |
順番のうち、動かせない部分があります。改葬許可の申請には、原則として管理者の証明が要ります。寺院や霊園の管理者とは、申請の前に接点ができるということです。そして、閉眼供養や遺骨の取り出しは、改葬許可を得たあとです。円融寺は閉眼供養のページで、改葬許可の書類を取得してから臨むよう案内しています(確認日 2026年10月1日)。日取りを決めてから許可が間に合わなかった、という事態は避けたいところです。
動かせるのは、親族と管理者のどちらを先にするか。ここに決まりはありません。寺院との付き合いが深い家なら、親族に伝える前に住職へ一言入れたい場合もあるでしょうし、親族の反対が心配なら、先に親族と話したい場合もあります。
寺院への連絡の順序は、確認できた範囲では手紙だけで済ませない形が案内されていました。墓じまいナビは、手紙を送ったうえで直接訪問する意向を示すとしています(確認日 2026年10月1日)。ただし、これは事業者の情報サイトの案内で、寺院側の見解ではありません。寺院側からの一次確認は取れておらず、手紙が先か、電話や訪問が先かは断定しません。普段の連絡が電話なのか、顔を合わせる付き合いなのか。その延長で選ぶのが自然です。寺院との関係の整理は離檀・寺院との関係の記事に分けています。
文面の基本の型
以下の文例は、特定のサイトの文面を写したものではなく、当サイトで一から書いた作例です。〇〇や△△は、お墓の所在地・家名・時期に差し替えてください。流れは四つ。時候の挨拶、経緯、お礼やお詫び、今後の予定と連絡先です。
長くする必要はありません。理由を詰め込むと、読む側が構えてしまいます。「後継ぎがいない」「遠方で通えなくなった」と、実情を一言で書くほうが伝わります。楽々整理も、理由の一文は実情を正直に添えるのがよいとしています(確認日 2026年10月1日)。同じ文面を使い回さず、相手ごとに書き分けることも、楽々整理が挙げている点です。
文例1・2:親族への手紙
文例1:話を知っている近しい親族へ
家族内で方針が固まったあと、すでに事情を知っている親族に出す想定です。形式ばらなくても失礼にはなりません。
拝啓 皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
このたび、〇〇家のお墓について、後継ぎの事情と管理の負担を話し合い、墓じまい(改葬)を進めることにいたしました。〇〇霊園のお墓は、△△年ごろに閉眼供養を行い、そのあと遺骨を□□(改葬先)へ移す予定です。
これまでお墓を気にかけていただいたことに、あらためてお礼を申し上げます。ご意見やご心配なことがありましたら、下記までお知らせください。なお、このお手紙へのご返信には及びません。
略儀ながら書中にてご報告申し上げます。 敬具
日程が固まっていなければ、「△△年ごろを予定しております」と幅をもたせて構いません。
文例2:疎遠な親族・話し合いに加わっていない親族へ
久しぶりの連絡になる相手には、唐突さを和らげる一言から入ります。事前に相談できなかったことへのお詫びは、短くても残しておきます。
拝啓 ご無沙汰しております。突然のお手紙をお許しください。
〇〇家のお墓について、このたび墓じまい(改葬)をすることになりました。〇〇にあるお墓は、長く私どもで管理してまいりましたが、この先の維持が難しくなったためです。△△年ごろに整理し、遺骨は□□へ移す予定です。
本来であれば、事前にご相談すべきところでした。ご連絡が行き届かず、申し訳ありません。縁のあるお墓のことですので、まずはご報告をさせてください。お気づきの点がありましたら、下記までご連絡ください。
略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます。 敬具
差出人は、墓地の使用者(名義人)か、改葬を進める家族の代表です。申請者が使用者本人でないときは、手紙とは別に、使用者の承諾書が要ります。
文例3:寺院への手紙
寺院墓地にお墓がある場合の想定です。ここでの手紙の役目は、決定を通知することではなく、長年のお礼を述べたうえで、相談の時間をお願いすることに置いています。寺院にとっても、墓地を預かってきた側の事情があります。決まったこととして書くより、相談の形にしておくほうが、その後の話がしやすいと考えました。
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素より、〇〇家のお墓をお守りいただき、厚く御礼申し上げます。長年のご厚情に、家族一同、深く感謝しております。
このたび家族で話し合い、遠方への転居と後継ぎの事情から、お墓のこと(墓じまい・改葬)を考えるに至りました。つきましては、閉眼供養のことを含め、一度ご相談のお時間をいただけないでしょうか。あわせて、改葬許可の申請にあたり、墓地の管理者としてのご証明をお願いすることになるかと存じます。
ご都合のよい日時を、お知らせください。こちらから伺います。何かとお手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。 敬具
この文例には、離檀に関する言葉や金額の話を入れていません。そうした交渉の進め方は、手紙ではなく対面で話す内容で、当サイトでは個別の助言をしていません。閉眼供養のお礼の考え方は閉眼供養のお布施相場に出典つきで整理しています。
文例4:霊園・墓地の管理者への手紙
公営・民営の霊園や墓地の管理事務所へは、感謝を長く書くより、用件を事務的に示すほうが伝わります。証明書面の依頼と、返還の手続きの確認が中心です。申請書の様式によっては、証明欄が申請書そのものにあり、管理者に署名・押印をもらう形になります。その場合は、先に市区町村の様式を入手して同封します(書類の出し分けは埋蔵証明書の記事にあります)。
〇〇霊園管理事務所 御中
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
〇〇家(区画番号△△)の使用者として、墓じまい(改葬)を進めることにいたしました。つきましては、次のことについてご教示とご対応をお願いいたします。
一、改葬許可の申請に必要な、埋蔵(収蔵)の証明のご記入(市区町村の様式を同封いたします)。
二、墓所の返還の手続きと、必要な書類について。
三、墓石の撤去工事を行う際の、指定業者の有無などの決まり。お忙しいところ恐れ入ります。ご都合のよい時間に、お電話にて確認させていただいてもよろしいでしょうか。 敬具
公営墓地の返還では、原状回復の方法や指定業者の有無が運営者ごとに違います。比較は公営墓地・公営霊園の返還手続きにあります。
手紙・はがき・メール・LINEの使い分け
墓じまいナビは、手書きの封書が最も丁寧で、メールやLINEは親族への事前の一報には使えるが、正式な挨拶状は書面が基本としています。楽々整理も、正式な連絡は封書、近しい親族にはLINEで先に一言入れてあとから手紙、事務的な内容ならはがきも可能という書き方です(どちらも確認日 2026年10月1日)。
2つのサイトの方向は同じでしたが、どちらも事業者の情報サイトで、公的な決まりではありません。普段メールやLINEでやり取りしている親族に、改まった封書が届くと、かえって身構えさせることもあります。相手が普段使っている手段に合わせ、重い内容ほど短くても書面を添える。そのくらいの考え方で足ります。
閉眼供養のご案内を出すとき
閉眼供養の日取りが決まったら、参列してほしい親族に案内を出す家族もいます。報告の手紙とは別に、短い案内にするほうが読みやすくなります。入れておきたい項目は次のとおりです。
- 日時と、お墓の場所(霊園名・区画・最寄りからの行き方)
- 僧侶が立ち会うか、お墓の前だけで行うか(服装が変わります)
- 服装の目安と、持ってきてほしいもの(数珠など)
- 当日の連絡先(雨天の扱いも添えると親切です)
- 欠席の連絡の期限と、連絡先
服装は、法要の有無や寺院の考え方で変わります。案内に「平服で」とだけ書くと、受け取る側が迷うことがあるので、中身を書き添えるとよいでしょう。寺院の公式サイトの記載をもとに整理したものが墓じまいの服装と持ち物です。
よくある質問
回答は施行規則の条文と、確認できた寺院・事業者サイトの記載の範囲で書いています。文例と出す時期の目安は当サイトの作例・整理で、決まりではありません。
挨拶状を出さないと、墓じまいの手続きは進められませんか?
挨拶状は法令が求める書類ではないので、出さなくても改葬許可の申請はできます。申請に添えるのは、いまの墓地・納骨堂の管理者が作る埋葬・埋蔵・収蔵の証明書面と、申請者が墓地使用者本人でないときの使用者の承諾書です(墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第2条)。挨拶状はこのどちらの代わりにもなりません。出すかどうかは、親族や管理者との関係をどう保ちたいかで決めることになります。
親族の全員に送る必要はありますか?
送る範囲に決まりはありません。法令が求める承諾書は墓地使用者のもので、親族全員の同意書ではないためです。迷うときは、お墓の話し合いに加わっていない人、お墓参りに通っていた人、お墓の費用や管理に関わってきた人を家族内で書き出し、そのうえで範囲を決める方法があります。誰かが「聞いていない」と感じる可能性のある人は、入れておくほうが後の説明が短く済みます。
送っても返事がないときはどうすればよいですか?
返事がないことが、反対や不快を意味するとは限りません。返答が必要な内容ではない報告の手紙であれば、なおさらです。文面に「ご返信には及びません。ご意見があれば下記までご連絡ください」と添えておくと、相手は返事を書く負担を感じずに済みます。気になる場合に電話で一言確かめるかどうかは、相手との普段の距離感で決めて構いません。
お寺や霊園には、手紙だけ送れば足りますか?
手紙だけでは済まない場面があります。管理者には、改葬許可の申請のために証明を書いてもらう場面があり、そこで直接のやり取りが生まれます。申請書の様式によっては、管理者の証明欄が申請書の中にあり、先に市区町村の様式を入手してから管理者に持参する順番になります。手紙は相談のきっかけにとどめ、証明の依頼や日程の相談は電話や面談で行うのが現実的です。
墓じまいが終わってから、まとめて報告してもよいですか?
完了後の報告だけにする家族もいて、そのこと自体に決まりはありません。ただ、お墓に思い入れのある親族には「進める前に一言ほしかった」と受け取られることがあります。事前に伝えていなかった場合は、報告の手紙に、先に連絡できなかったことへの一言を入れておくと角が立ちにくくなります。文例2がその書き方です。
次の一歩
手紙を書き始める前に、確かめておくと楽になることが3つあります。
- 差出人を誰にするか……墓地の使用者(名義人)が誰か。亡くなった方の名義のままなら、先にそこが課題になります。
- 送る相手の一覧……近しい親族、疎遠な親族、管理者を分けて書き出します。迷う人は、いったん入れておきます。
- 日程の見通し……改葬先と閉眼供養のおおよその時期。幅があっても構いません。
全体の流れを見ながら進めたいときは、墓じまいの方法と手順が手がかりになります。家族にどう切り出すかで迷っているなら、先に切り出し方の記事をどうぞ。順番を整理したチェックリストはこちらから保存できます。
参照元
- 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(厚生労働省 法令等データベース)第2条(改葬許可申請書の添付書類)〔2026年10月1日〕
- 円融寺(兵庫県尼崎市)閉眼供養のページ(改葬許可の書類を得てから閉眼供養に臨む旨の案内)〔2026年10月1日〕
- 墓じまいナビ「墓じまいの挨拶状の書き方」(事業者の情報サイト。媒体・寺院への連絡順序の案内)〔2026年10月1日〕
- 楽々整理「墓じまいの挨拶状を例文つきで解説」(事業者の情報サイト。相手別の書き分け・媒体の案内)〔2026年10月1日〕

執筆・編集
大久保亮佑株式会社Kogera代表
生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)
墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。