墓じまいの服装は閉眼供養の法要の有無で変わる|喪服・平服の目安と持ち物

大久保亮佑

執筆・編集: 大久保亮佑(株式会社Kogera代表/生前整理アドバイザー2級)

更新日: 2026年10月1日

墓じまいの服装と持ち物。本堂での法要と墓前のみの2つの場面で、服装の案内が分かれることを示す図版

閉眼供養の日に、何を着ていけばよいのか。喪服なのか、普段着でよいのか。案内に「平服でお越しください」とだけあって、かえって迷う、という声をよく聞きます。

確認できた寺院と事業者のサイトでは、僧侶が立ち会う法要があれば喪服、お墓の前だけなら平服、という案内が目立ちました。ただ、寺院や宗派によって考え方は分かれます。その分かれ方を、そのまま並べます。

この記事の要点

全国共通の決まり確認できなかった。寺院4か所の案内も、喪服が望ましい/決まりなし/普段どおりでよい、に分かれていた
分かれ目本堂などでの法要があるか。ある場合は喪服、墓前のみなら平服、とする案内が多い
「平服」の意味普段着ではなく、暗い色で装飾の少ない略式の礼服、とする寺院がある(金剛院・円融寺)
迷ったとき依頼する寺院に聞く。参列する親族どうしで装いをそろえておく

場面ごとの案内:法要の有無で分かれる

閉眼供養は、お墓から魂を抜いて、ただの石に戻す儀式として説明されることが多い法要です。服装の案内は、その法要を誰がどこで行うかで分かれていました。

墓じまい当日の服装についての寺院・事業者サイトの案内(場面別)
場面各サイトの案内案内している先
本堂などで僧侶の法要があり、そのあと墓前へ喪服で統一するのが一般的円融寺(寺院)/日本改葬協会(僧侶が来る場合は喪服かスーツの正装)
僧侶が墓前に来て閉眼供養を行う地味な色の平服(略式礼服)。黒・紺・グレーのダークスーツが目安円融寺(墓前のみの場合)
僧侶が来ない身内だけの場平服で問題ないが、派手な服やラフすぎる服は避ける。親戚が多いなら喪服が推奨日本改葬協会
寺院が服装を決めていない・自由としている決まりはない。少人数の身内なら平服が増えている、普段どおりでよい三宝寺(真宗大谷派)/自然寺(浄土真宗本願寺派)

この表は、各サイトの記載を場面ごとに並べ替えたものです。一つの基準に統一されているわけではなく、確認日は 2026年10月1日 です。

平服が多数派だと決めつけることもできませんでした。ヤシロは閉眼供養は一般的に平服と書き、東洋石材工芸社は、かつては喪服が定番でも近年は普段着の人も多いと書いています。一方で、日本改葬協会は、僧侶が来る場合は喪服かスーツの正装がふさわしいとしています。事業者のサイトでも案内は割れています。

寺院4か所の記載:考え方は一様ではない

服装の線引きは、事業者より、儀式を行う寺院自身の考えに左右されます。寺院が自分のサイトに書いている服装の案内を、4か所分並べました。直接問い合わせたものではなく、公開されている記載を読んだものです。

寺院の公式サイトにある服装の案内(4か所)
寺院(宗派・所在地)どのページか服装についての案内
円融寺(兵庫県尼崎市)閉眼供養の解説ページ墓前のみは平服(黒・紺・グレーのダークスーツ)、本堂で法要があれば喪服。参列する人どうしで事前にそろえる
金剛院(真言宗智山派・埼玉県さいたま市)法事の服装(閉眼供養専用ではない)故人の供養を行う法要は喪服が望ましい。「平服」は普段着ではなく、略喪服にあたる服装
三宝寺(真宗大谷派・埼玉県春日部市)法事の服装のよくある質問(同上)特に決まりはなく地域で違う。少人数の身内なら平服が増えているが、親戚によっては喪服が望ましい場合もあり、各家の判断
自然寺(浄土真宗本願寺派・神奈川県海老名市)「正式な服装」の説明(同上)平服でお参りください、と案内。黒や白にこだわらず普段どおりの装いを「正式」とし、墓前での熱中症対策も理由に挙げる

金剛院・三宝寺・自然寺のページは、法事全般の服装を扱ったもので、閉眼供養そのものを説明しているわけではありません。閉眼供養にそのまま当てはまるとは限らないので、あくまで寺院ごとの考え方の例として見てください。

浄土真宗の寺院には、服装を自由とする案内が見られます。自然寺は、浄土真宗では僧と俗を隔てない考え方があるとして、普段どおりの装いを勧めています。ただ、これは自然寺という一つの寺院の説明で、浄土真宗の寺院すべてがそうだと言えるわけではありません。三宝寺(真宗大谷派)は、決まりはないものの、親戚との関係によって喪服が望ましい場合もあると書いています。宗派の名前だけで服装を決めず、依頼する寺院の考え方を確かめるのが安全です。

「平服」とは何を指すか

案内状にある「平服でお越しください」は、普段着という意味ではないとする寺院があります。金剛院は、暗い色・光沢がない・柄がない・装飾が少ない、といった略喪服にあたる服装としています。円融寺も、墓前のみの場合の平服を略式礼服と呼び、黒・紺・グレーのダークスーツを目安に挙げています。

そのため、案内に「平服」とあれば、地味な色の、きちんとした服装でそろえておくと外れにくくなります。普段着でよい、という寺院の案内も実際にはありますが、ただ、事前に確かめないまま普段着で行くと、ほかの参列者との差が目立つことがあります。

男女別・子ども・革製品・季節

男性・女性

男性は、黒・紺・グレーなどのダークスーツが目安です(円融寺)。金剛院の例なら、黒ネクタイに白いワイシャツ、黒無地の靴下、光沢のない黒の革靴まで具体的に書かれています。

女性は、暗い色のスーツが目安です。金剛院の例には、黒のストッキング、黒のバッグ、低いヒールの靴が並びます。アクセサリーは、金剛院が真珠と結婚指輪のみ、円融寺は控えめにして真珠なら一連程度。足元には墓地の事情も絡みます。山の中のお墓や、坂道・階段の多い墓地があるため、日本改葬協会は和装でなく洋装を勧めています。円融寺は、ヒールの高い靴を避けるよう案内しています。

革製品

円融寺は、殺生を連想させるとして、毛皮と革製品を避けるよう案内しています。金剛院の服装例には、逆に黒革の靴があります。考え方は寺院ごとに違い、全国共通の決まりとは確認できませんでした。気になる人は、布製のバッグや靴を選ぶことも一つの方法です。依頼する寺院に聞けば、気にするかどうかが分かります。

子ども

金剛院は、園服や学校の制服で問題なく、大学生以上は大人と同じ装いとしています。

季節

夏の屋外は、儀式が短くても暑さがこたえます。円融寺の案内では、男性は夏なら半袖のワイシャツで構いません。冬のコートは、儀式の間は脱ぐ前提です。暑さへの配慮をはっきり理由に書いているのは自然寺で、墓前の法要で黒い服だと暑い、というのが色にこだわらない理由のひとつです。

清掃や遺骨の取り出しが続くとき

閉眼供養のあとに、遺骨の取り出しまで同じ日に行う流れがあります。NPO法人やすらか庵の例では、午前10時開始の想定で、9時までに到着して石材店と打ち合わせ、お墓の掃除と飾りつけ、読経、遺骨の取り出しと確認、という順に進みます。円融寺の持ち物にも、バケツ・スポンジ・ほうきといった清掃道具が挙がっています。

ここから先は当サイトの提案ですが、礼服のまま掃除をすると、汚れが気になります。清掃に参加する人は、動きやすく汚れてもよい服と履き物を持っていき、儀式の前後で着替える段取りもあります。僧侶の読経のあいだだけ、きちんとした服装に整える、という形です。石材店が当日のどこまでを担当するか、遺骨の取り出しに誰が立ち会うかは、事前に確かめておくと迷いません。

持ち物

円融寺が挙げる持ち物は、お布施(袱紗に包む)、数珠、清掃道具(バケツ・スポンジ・ほうき)、改葬許可証、懐紙。日本改葬協会の案内では、施主が清掃用具と、お花・線香・ろうそく・ライターなど通常のお墓参りの供えものを用意し、参列者は自分の宗派の数珠を持参します。数珠は、円融寺が略式なら宗派を問わないとするので、ここも案内が分かれます。

お供えは、地域や宗派で違うことがあります。東洋石材工芸社は、花・線香・ろうそくのほか、菓子・果物・お酒などを例に挙げたうえで、事前に寺院へ確認するよう案内しています。お布施の考え方と表書きは閉眼供養のお布施相場にあります。改葬許可証は、遺骨を取り出す前に必要な書類です。取得の流れは改葬許可証とはで整理しています。

迷ったときの確認先

服装の線引きは寺院ごとに違うので、答えを持っているのは、閉眼供養をお願いする寺院です。聞き方は短くて構いません。「当日は喪服と平服のどちらでうかがえばよいでしょうか」で足ります。公営・民営の霊園で僧侶の手配サービスを使う場合は、その窓口に聞けます。石材店は、当日の工事の段取りに合う服装を教えてくれることもあります。

参列する親族がいるなら、装いをそろえておくことも欠かせません。円融寺も、参列する人どうしで事前に服装をそろえるよう案内しています。一人だけ喪服で、ほかは平服。その逆も、気まずいものです。連絡のついでに伝える文面の例は墓じまいの挨拶状の文例の「閉眼供養のご案内」にあります。

よくある質問

回答は、確認できた寺院・事業者サイトの記載の範囲で書いています。服装に全国共通の決まりは確認できていません。依頼する寺院の考え方を、先にご確認ください。

喪服は必ず着ていかなければいけませんか?

必ずとは言えません。確認できた寺院のサイトでも、本堂などで法要を行うなら喪服が望ましいとする寺院、決まりはなく少人数の身内なら平服が増えているとする寺院、普段どおりの装いでよいとする寺院に分かれていました。僧侶が立ち会うか、依頼する寺院がどう考えるかで変わります。迷うときは、依頼する寺院に聞くのが確実です。

「平服でお越しください」と案内に書いてあります。普段着でよいのですか?

金剛院(真言宗智山派)は、平服を普段着ではなく、暗い色・光沢がない・柄がない・装飾が少ない略喪服にあたる服装としています。円融寺も、墓前のみの場合の平服を略式礼服とし、黒・紺・グレーなどのダークカラーのスーツを目安にしています。Tシャツやジーンズの意味ではない、と受け取っておくと外れにくくなります。一方で、浄土真宗本願寺派の自然寺のように、色にこだわらず普段どおりの装いでお参りするよう案内している寺院もあります。

革製品は避けたほうがよいですか?

円融寺は、殺生を連想させるとして毛皮・革製品を避けるよう案内しています。一方、金剛院の服装例には、男性の靴として光沢のない黒革靴が挙がっています。考え方は寺院によって異なり、全国共通の決まりとは確認できませんでした。気になるときは、布製の小物を選ぶか、依頼する寺院に聞いてください。

子どもはどんな服装にすればよいですか?

金剛院は、園服や学校の制服でも問題なく、大学生以上は大人と同じ装いとしています。大人と同じ礼服をそろえる必要はなさそうですが、墓前で長く立つこともあるため、本人が動きやすい服装かどうかも見ておいてください。

夏の暑い日は、どうすればよいですか?

円融寺は、男性は夏は半袖のワイシャツでよいとしています。自然寺(浄土真宗本願寺派)は、墓前での法要で黒い服装だと暑いことを、色にこだわらない理由のひとつに挙げています。屋外の儀式なので、上着は儀式の間だけ着る、飲み物を持っていく、といった段取りでも構いません。熱中症が心配な親族がいるときは、事前に一声かけておきましょう。

次の一歩

まず、閉眼供養をお願いする寺院に、僧侶が来る法要の形かどうかと、服装の希望を一度だけ聞いておきます。そのうえで、参列する親族に「喪服にする」「平服にする」と一言伝えれば、当日の迷いはほぼなくなります。

服装以外の段取りも含めて、全体の流れを見たいときは墓じまいの方法と手順が手がかりになります。順番を整理したチェックリストはこちらから保存できます。

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大久保亮佑

執筆・編集

大久保亮佑株式会社Kogera代表

生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)

墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。

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