無縁墓は公営墓地を持つ市町村の58%にある|総務省調査と公告の実例

大久保亮佑

執筆・編集: 大久保亮佑(株式会社Kogera代表/生前整理アドバイザー2級)

更新日: 2026年10月2日

無縁墓は公営墓地を持つ市町村の58.2%にある(総務省行政評価局の調査・2023年9月公表)

公営墓地・納骨堂を持つ765市町村のうち、無縁墳墓等が1区画以上あると答えたのは445市町村、58.2%でした。総務省行政評価局が2022年に全国の市町村へ尋ね、2023年9月に公表した調査です。疑いのある区画を含む数字で、墓の割合ではなく自治体の割合です。

「うちのお墓も、いつか無縁墓になるのでは」。気になって数字を探すと、刺激の強い見出しばかりが目に入ります。この記事は、総務省の調査、厚生労働省の統計、自治体が公開している改葬公告の3つだけで、何が分かっていて、何が分かっていないのかを書きます。

この記事の要点

自治体の割合公営墓地・納骨堂を持つ765市町村のうち445市町村(58.2%)に、無縁墳墓等が1区画以上ある(疑いを含む)。総務省の書面調査・2022年
区画の割合全国の集計はない。報告書にある札幌市の例(市営霊園と旧設墓地)では、47,565区画のうち10,042区画(約21%)
整理まで進んだ数2016〜2020年度の5年間に、遺骨の移管・墓石の撤去に着手した自治体は765市町村のうち47(6.1%)
年次推移無縁墳墓等の改葬は2011〜2024年度に年1,948〜5,044件で増減。2024年度は3,006件で、一方向の増加は読み取れない(遺骨数ベースの集計で、墓じまいをしたお墓の基数ではない)
公告の実例岡崎市・御所市・笠岡市の公告と日進市の手順ページを、公式サイトの原文で確認

総務省の調査:無縁墳墓等がある市町村は58.2%

総務省行政評価局は、「墓地行政に関する調査」で、全国1,718市町村(東京都特別区を除く)に書面で状況を尋ねました。2022年2月からの基礎調査です。回答したのは1,231市町村で、回答率は71.7%。そのうち市町村が自ら経営許可を受けた公営墓地・納骨堂を持つのは765市町村でした。

この765市町村のうち、無縁墳墓等が1区画以上あると答えた(疑いのあるものを含む)のは445市町村、58.2%です。「ない」は215市町村(28.1%)、「分からない」は105市町村(13.7%)でした。無縁墳墓等とは、施行規則 第3条にいう「死亡者の縁故者がない墳墓又は納骨堂」のことです。

公営墓地・納骨堂における無縁墳墓等の有無(人口規模別・市町村数。総務省の基礎調査)
人口規模公営墓地・納骨堂を持つ市町村無縁墳墓等が「ある」「ない」「分からない」
30万人以上5745(78.9%)9(15.8%)3(5.3%)
10万人以上〜30万人未満10770(65.4%)23(21.5%)14(13.1%)
5万人以上〜10万人未満12769(54.3%)46(36.2%)12(9.4%)
5万人未満474261(55.1%)137(28.9%)76(16.0%)
合計765445(58.2%)215(28.1%)105(13.7%)

人口が多い市ほど割合は高く、30万人以上では78.9%。5万人未満の市町村でも55.1%が「ある」と答えています。報告書は、無縁墳墓等は時がたっても自然に解消せず、増えるほど解消が難しくなるおそれがある、と書いています。

この数字の読み方(区画の割合ではない)

58.2%は、見出しで目に入るほど単純な数字ではありません。読むときに外せない点が4つあります。

  • 単位は市町村です。「無縁墓が1区画でもある市町村の割合」で、「全国のお墓の58%が無縁墓」という意味ではありません。
  • 対象は公営墓地・納骨堂だけです。報告書が引く2021年度の衛生行政報告例では、全国の墓地・納骨堂884,002のうち、経営主体が地方公共団体のものは3.5%。個人とその他の合計が88.7%、宗教法人が7.7%でした。寺院や民営霊園、集落の墓地の無縁墓は、この調査の外にあります。
  • 疑いのある区画を含みます。「ある」には、無縁墳墓等の疑いがあるとした回答も入っています。
  • 回答した自治体の集計です。回答率は全体で71.7%、人口5万人未満の市町村では65.8%でした。

区画の割合は、全国の集計がありません。報告書に載っている一例が札幌市です。2021年度に、市営霊園と旧設墓地(明治期に地域住民が整備した埋葬地で、現在の管理者は市)を調べたところ、無縁墳墓が全区画の約21%(47,565区画のうち10,042区画)あることが分かりました。市は2025年度に13%まで減らす成果指標を置いています。ただ、撤去費用の負担が大きく、墓石の保管場所も確保しにくいため、現状では墓石を既存の区画にそのまま置いているといいます。あくまで一つの自治体の値で、全国の目安として読むものではありません。

「無縁」はどう判断されているのか

無縁かどうかの判断に、全国共通の年数はありません。報告書が実地調査で確認した自治体の目安は、管理料の滞納、使用者の死亡や所在不明からの年数、縁故者への意向確認、立札への反応などを組み合わせたものでした。

無縁と判断する目安の例(総務省の実地調査・報告書の記載)
自治体判断の目安
秋田県大仙市管理料の滞納が3年程度で、住民基本台帳の確認や戸籍の公用請求等によっても縁故者が不明の場合
兵庫県神戸市管理料の滞納が10年程度で、戸籍の公用請求等による縁故者調査を行っても発見されない場合
福島県白河市使用者が死亡し5年以内に承継の申出がない場合、または使用者が所在不明となり10年が経過した場合
兵庫県尼崎市使用者が死亡して5年が経過しても承継の申出がない、または所在不明となり10年が経過した場合
石川県小松市郵送調査でも使用者が確認できず、連絡を求める白札を1年以上掲示し、見回りでも墓参の形跡がなく、縁故者の申出もなかった場合

報告書は、これらの目安に当てはまっただけで、ただちに無縁墳墓等と判断されるものではない、と注記しています。把握のきっかけは、実地調査で無縁墳墓等があった42市町村のうち、管理料の滞納が20(47.6%)で最多。見回りが16、近隣の使用者などからの通報が13でした(複数回答)。何年で無縁墓になるのかという問いの整理は、無縁墓とはの記事に分けています。

整理まで進んだ自治体は6.1%

無縁墳墓等が見つかっても、整理に進む自治体は多くありません。2016〜2020年度の5年間に、公営墓地・納骨堂で遺骨の移管や墓石の撤去に着手したのは765市町村のうち47(6.1%)でした。官報に掲載したのは70(9.2%)、無縁改葬の許可を得たのは58(7.6%)。報告書は、解消には複数年かかるのが通常で、この表は同じ墓についての数字とは限らない、と断っています。

無縁墳墓等の解消のための取組(2016〜2020年度の5年間・市町村数。総務省の基礎調査)
人口規模公営墓地・納骨堂を持つ市町村官報掲載無縁改葬の許可遺骨の移管・墓石撤去に着手
30万人以上5718(31.6%)15(26.3%)15(26.3%)
10万人以上〜30万人未満10719(17.8%)14(13.1%)13(12.1%)
5万人以上〜10万人未満12713(10.2%)10(7.9%)8(6.3%)
5万人未満47420(4.2%)19(4.0%)11(2.3%)
合計76570(9.2%)58(7.6%)47(6.1%)

管理する側にも、動きにくい事情がある

今後、公営墓地・納骨堂で無縁改葬を進める意向があると答えたのは169市町村(22.1%)。「どちらともいえない」が270(35.3%)、「意向なし」と無回答が326(42.6%)です。実地調査では、費用や手間をかけてまで解消する必要性がないとする市町村もありました。

ためらう理由として、報告書は個々の市町村の声を紹介しています。移す先の合葬式施設がない(公営の合葬式施設を持つのは765市町村のうち195、25.5%)。縁故者に承諾を尋ねる親族の範囲と、返事を待つ期間が法令に定められていない。無縁改葬後の墓石の扱いが規定されていない。墓石の保管場所がない。報告書には、直前まで墓参の形跡があった墓地を無縁として改葬し、調査を尽くさなかった宗教法人側の過失を認めた2014年の高松高等裁判所の判決(抄)も載っています。法令の手続きを踏んだというだけでは使用権を消滅させられない、という判断で、慎重になる事情がうかがえます。

改葬された遺骨の行き先も、報告書の表にあります。手続きを確認できた42市町村のうち、合葬式施設が21(50.0%)、納骨堂が4(9.5%)、近隣の寺院墓地が1(2.4%)、墓地内の保管施設などその他が5(11.9%)。一時保管したのちに処分するとした市町村が1(2.4%)、未定が10(23.8%)でした。墓石は、手続きを確認できた41市町村のうち、即時処分が8(19.5%)、未定が17(41.5%)です。墓石の扱いについては、厚生労働省が2025年12月に自治体へ事務連絡を出し、差押えと公売、事務管理としての売却や廃棄という考え方を示したと、総務省の2回目のフォローアップ(2026年4月)が記しています。

厚生労働省の統計:無縁墳墓等の改葬は増えているか

厚生労働省の衛生行政報告例には、改葬の件数と、そのうちの「無縁墳墓等の改葬」を再掲した表があります(第6表)。2011年度から2024年度までの全国の値を並べました。

改葬と、そのうち無縁墳墓等の改葬(全国・件。衛生行政報告例 第6表。遺骨数ベースの集計で、墓じまいをしたお墓の基数ではありません)
年度改葬(遺骨数ベース)うち無縁墳墓等の改葬
2011年度76,6623,069
2012年度79,7494,857
2013年度88,3975,044
2014年度83,5742,829
2015年度91,5673,625
2016年度97,3171,948
2017年度104,4933,384
2018年度115,3844,033
2019年度124,3462,982
2020年度117,7722,718
2021年度118,9753,309
2022年度151,0763,414
2023年度166,8863,651
2024年度176,1403,006

改葬全体は、2011年度の76,662件から2024年度の176,140件へ、約2.3倍になりました。ただし毎年増えてきたわけではなく、2014年度と2020年度には前の年を下回っています。この件数は遺骨数ベースです。1つのお墓に複数の遺骨があれば、その数だけ数えられるため、墓じまいをしたお墓の基数とは読めません。

無縁墳墓等の改葬のほうは、14年間で1,948件(2016年度)から5,044件(2013年度)の幅で上下していて、一方向に増えている形ではありません。2024年度は3,006件で、改葬全体の約1.7%です。

ここで注意したいのは、この表が示すのは「手続きを踏んで実際に改葬された件数」だということです。無縁墳墓がいくつ生まれているかは分かりません。総務省の報告書も、無縁墳墓等の発生実態は、墓地行政で唯一の経年的なデータである衛生行政報告例でも把握されていない、と書いています。つまり、この統計から「無縁墓が急に増えている」とは言えず、「減っている」とも言えません。報告書が将来の増加を「おそれ」と表現しているのは、死亡数が2040年に約168万人でピークを迎える見込みなど、人口の動きを根拠にしているためです。

改葬公告の実例(岡崎市・御所市・笠岡市・日進市)

数字の次に、実際の公告を見ます。以下は、各自治体の公式サイトで2026年10月2日に確認した内容です。公告文には個人の氏名や本籍が載っているものもありますが、ここでは書きません。岡崎市と日進市は、お墓を継ぐ人がいない場合の記事でも取り上げていて、本記事では原文を改めて確認しました。

自治体の公式サイトで確認できた無縁墳墓等の改葬公告・手順の案内
自治体公告・案内の内容(原文の記載)申し出の期間申出先
愛知県岡崎市市有欠町共同墓地の無縁墳墓改葬公告。公告日は令和7年9月16日。「適正な墓地管理運営のため」の改葬で、墳墓ごとに墓地使用者・死亡者・本籍を表で公開(ページ更新日 2026年2月27日)公告掲載の翌日から1年以内保健部 保健政策課 施設係
奈良県御所市御所市営墓地の再編整備のための公告。令和3年2月12日から令和7年3月31日まで計6回、区画番号を挙げて官報に掲載(ページ公開日 2025年3月31日)。「引き続き調査中であり、公告掲載日の翌日から1年をもってただちに改葬・撤去するものではありません」と明記公告掲載日の翌日から1年以内環境政策課(御所市クリーンセンター)
岡山県笠岡市笠岡市押撫字原363番の無縁墳墓等。墓地整理のための改葬で、墳墓の名称と死亡者の本籍・氏名は「不詳」。期日までに申し出がなければ「無縁仏として改葬し、墳墓は撤去する」と記載(ページ更新日 2026年9月8日)令和9年9月8日まで環境課
愛知県日進市実際の公告ではなく手順の案内。墓石と縁故者の事前調査、官報への掲載、現地への立札の設置を経て、改葬許可を申請する流れ。官報と立札の記載内容は同一とし、公告文例のPDFも掲載(ページ更新日 2024年4月5日)官報掲載日の翌日から1年以内環境課

並べてみると、公告の出し方は自治体の事情で違っています。岡崎市は共同墓地の墳墓をまとめて1回で、御所市は市営墓地の再編を、年に1回前後のペースで区画を分けて進めています。笠岡市は、墳墓の名称も本籍も氏名も分からないお墓で、期限を日付で書きました。共通しているのは、官報への掲載と立札が前提で、申し出に期限が区切られていること。岡崎市・御所市・日進市は公告(官報掲載)の翌日から1年以内、笠岡市は日付で示しています。申出先は、墓地を管理する自治体の担当課です。

期限までに申し出がなかった場合に改葬されると明記する公告が多い一方で、御所市のように、調査を続けていて1年でただちに撤去するものではないと断る例もあります。届いた書面や立札を見たときの動き方は、無縁墓の通知が届いたらで整理しました。

公告の根拠:施行規則 第3条

上の公告が従っているのは、墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第3条です。無縁墳墓等の改葬許可を申請するときは、通常の書類に加えて、墳墓の写真と位置図、死亡者の本籍・氏名などを官報に掲載して1年以内の申し出を求め、墳墓の見やすい場所の立札にも1年間掲示して公告し、その期間中に申し出がなかった旨を記した書面、官報を出力した書面(または電磁的官報記録を記載した書面の写し)、立札の写真が要ります。市町村長が特に必要と認める書類を求められることもあります。

e-Govで確認したところ、官報に関する書類の書き方は、官報の発行に関する法律(令和5年法律第85号)に合わせた省令の改正で2026年5月21日に改められています。官報に掲載し、立札に1年間掲示するという骨格は、現行の条文でも同じです。申請するのは改葬を行おうとする側(上の公告では自治体や墓地の管理者)で、縁故者が用意する書類ではありません。制度の全体像は無縁墓とはに書いています。

よくある質問

回答は総務省の結果報告書、厚生労働省の衛生行政報告例、墓地、埋葬等に関する法律施行規則、自治体の公式サイトの範囲で書いています。個別の運用は墓地の管理者・自治体窓口にご確認ください。

無縁墓は全国にどれくらいありますか?

全国の無縁墓の数や区画数を集計した公的な統計は、確認できた範囲ではありません。総務省の調査(2023年9月公表)で分かるのは自治体の数で、公営墓地・納骨堂を持つ765市町村のうち445市町村(58.2%)が、無縁墳墓等が1区画以上ある(疑いを含む)と答えています。区画の割合ではなく、寺院・民営霊園・集落の墓地も含まれません。

無縁墓は増えていますか?

統計だけでは「増えている」とも「減っている」とも言えません。厚生労働省の衛生行政報告例で、無縁墳墓等の改葬は2011〜2024年度に年1,948〜5,044件の幅で増減しており、一方向の増加は見られません。また、この数字は改葬が実施された件数で、無縁墓の発生数ではありません。総務省の報告書は、死亡数が2040年に約168万人でピークを迎える見込みなどを背景に、今後増加するおそれを指摘しています。

寺院や民営霊園の無縁墓は、総務省の調査に含まれていますか?

含まれていません。調査の対象は、市町村が自ら経営許可を受けた公営墓地・納骨堂です。報告書が引く2021年度の衛生行政報告例では、全国の墓地・納骨堂884,002のうち、経営主体が地方公共団体のものは3.5%、個人とその他の合計が88.7%でした。公営以外の無縁墓の数は、この調査からは分かりません。

官報に無縁墳墓の公告が載ると、すぐ撤去されますか?

官報への掲載だけでは撤去されません。墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第3条は、官報への掲載とあわせて、墳墓の見やすい場所に立札を1年間掲示することを求めています。御所市のように、公告から1年たっても調査を続けていて、ただちに改葬・撤去するものではないと明記している自治体もあります。

官報や立札で自分の家のお墓かもしれないものを見つけたら、どうすればよいですか?

公告に書かれた申出先(自治体の担当課、または墓地の管理者)に連絡します。申し出の期限は、公告掲載の翌日から1年以内とする自治体が多く、笠岡市のように日付で示す例もあります。連絡のあとの流れや、届いた書面の見分け方は「無縁墓の通知が届いたら」の記事に整理しています。

気になったときにできること

数字を見て不安になったときは、まず、お墓の使用者(名義人)と連絡先が管理者の帳簿に最新で載っているかを確かめるところからです。報告書によると、使用者以外の縁故者の情報を把握している割合が「20%未満」と答えた市町村は、実地調査の88市町村のうち71(80.7%)でした。一方、縁故者の連絡先をあらかじめ把握していた市町村には、使用者が所在不明になっても、その縁故者へ速やかに連絡できた例があります。住所や連絡先が変わったときの届け出や、管理者に承継する人を伝えておくことが、連絡のつながる状態を保つ方法になります。

自治体ごとの改葬許可の窓口・手数料・必要書類は自治体別データベースに出典・確認日つきでまとめています。数字を知ることは、決めることとは別です。いまは様子を見る、という結論もあります。読み方に迷う、管理者に何を聞けばよいか分からない。そんなときは無料相談フォームからお知らせください。申請の代理や交渉は行いませんが、確認すべき項目の整理と公式情報の探し方はお手伝いできます。

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参照元

大久保亮佑

執筆・編集

大久保亮佑株式会社Kogera代表

生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)

墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。

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