墓じまいの費用が払えない|安く済ませる供養先と補助金・還付・分割払いの現状(2026年)
執筆・編集: 大久保亮佑(株式会社Kogera代表/生前整理アドバイザー2級)
更新日: 2026年9月2日
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墓じまいの費用が払えないと感じたら、見直す順番は決まっています。総額を最も動かすのは「新しい供養先」で、合祀墓なら1体3万円から、海洋散骨(委託)なら1体2万円からという目安があります。一般墓への引っ越し(平均152.0万円)との差は100万円を超えます。
見積もりを見た瞬間に手が止まった。そんな方は少なくありません。鎌倉新書の2026年調査(n=733)では、墓じまいを中止した理由の1位が「費用の高さ」でした。この記事では、費用を抑えやすい選択肢と、補助金・還付・分割払いの実情を出典つきで並べます。
費用を抑えやすい供養先の目安
5千円 〜 30万円
供養先の選び方によって、費用は大きく変わります。撤去工事・行政手続きは供養先の選択にかかわらず別途必要です。改葬許可証の手数料は当サイト実査でほぼ無料〜数百円です。
- 合祀墓・合葬墓
- 3万円〜30万円/体
- 海洋散骨(委託代行)
- 2万円〜5万円/体(粉骨費別)
- 手元供養(ミニ骨壷)
- 5千円〜1.5万円
- 自治体の補助金
- 市営墓地の使用者限定(太田市上限20万円・浦安市上限15万円)
- ローン・分割払い
- 全国共通の制度は一次情報で確認できず
結論: 見直す順番は「供養先→撤去工事→それ以外」
墓じまいの総額は、撤去工事・供養儀式・行政手続き・新しい供養先の4つを足したものです。このうち行政手続きの手数料は、当サイトが実査した149自治体の判明分がすべて無料〜数百円で、総額への影響はごくわずかです。金額を大きく動かしているのは「新しい供養先」。次に「撤去工事」。費用を抑えたいなら、この順番で見直すのが一番効きます。内訳の全体像は墓じまいの費用相場にまとめています。
それから、急ぐ必要はありません。「する・しない・様子見」は同じ重さの選択です。鎌倉新書の2026年調査(n=733)では、実際に墓じまいをした人の費用は「31万〜70万円」が最多で、約半数が70万円以下でした。一方で、中止した理由の1位は「費用の高さ」です。費用の不安が大きいなら、いったん様子見にするのも間違いではありません。
考え方のコツをひとつ。総額をゼロからまとめて用意しようとすると、途方に暮れます。「区分ごとに、どこまでなら今用意できるか」と分けてみてください。撤去工事・供養儀式・行政手続きは今のお墓に関わる費用、新しい供養先は将来に関わる費用。性質の違うものが1枚の見積書に並んでいる、と気づくだけでも見通しは変わります。
費用を抑えやすい供養先の選択肢(一覧表)
新しい供養先のうち、費用を抑えやすいものを並べます。金額は当サイトの費用シミュレーターが使っている数値テーブル(出典は参照元)と、公営墓地の条例・公式ページの実査データです。
| 選択肢 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 合祀墓・合葬墓 | 3万円〜30万円/体 | 他の方の遺骨と同じ場所にまとめて埋蔵・供養する形式。体数に応じて費用が増えます。一度合祀すると遺骨は取り出せません。 |
| 海洋散骨(委託代行) | 2万円〜5万円/体 | 遺骨を業者に預けて散骨する方式。粉骨費(1万円〜3万円/体)が別途必要です。自治体の条例の確認が要ります。 |
| 手元供養(ミニ骨壷) | 5千円〜1.5万円 | 骨壷やアクセサリーで自宅に安置する方法。全てを手元に置かない場合は残りの供養先が別途必要です。 |
| 樹木葬(合祀型) | 5万円〜20万円 | 個別型・集合型より費用を抑えやすいタイプです。 |
| 公営墓地の園内合葬先 | 墓地ごとに公表(無料〜数万円台の例) | 当サイト実査の公営墓地31運営者のうち20件で園内の合葬先を確認。返還と同時申込みで使用料が免除される例(明石市)もあります。 |
合祀墓・合葬墓は、他の方の遺骨と同じ場所にまとめて埋蔵・供養する形式です。1体あたり3万円〜30万円(お墓ガイド・お墓さがし突合)。費用面ではもっとも抑えやすい部類に入ります。ただし、一度合祀すると個別に遺骨を取り出すことは基本的にできません。この不可逆性だけは、先に家族で共有しておいてください。
海洋散骨の委託代行は、遺骨を業者に預けて撒いてもらう方式で、1体2万円〜5万円が目安です(森の庵・シーセレモニー突合)。粉骨(遺骨を細かく砕く処理)が原則必須で、機械仕上げなら1万円〜3万円が別途かかります(ウーナ)。なお、自治体によっては散骨に関する条例が定められている場合があり(熱海市・伊東市等)、実施前に確認が必要です。
手元供養は、ミニ骨壷なら5千円〜1.5万円が目安です(Admire Garden・ディアファミリー突合)。金額だけ見るともっとも軽い選択肢に見えますが、すべてのご遺骨を手元に置かない場合は、残りのご遺骨の供養先が別に必要になります。
樹木葬なら、合祀型(5万円〜20万円)が個別型・集合型よりも抑えやすいタイプです。個別に手を合わせる場所を残したいか、合祀でよいと考えるか。ここは家族の考え方次第で、費用の安さだけで決める必要はありません。
今のお墓が市営・町営・都立の公営墓地なら、園内に合葬先があるかも確認する価値があります。当サイトが条例・公式ページを実査した31運営者のうち20件で園内の合葬先を確認しました。明石市石ケ谷墓園は、一般墓地の返還と同時に合葬室へ申し込むと、通常1体55,000円の合葬室使用料が免除されると公式ページに明記しています。運営者ごとの条件は公営墓地の返還手続きで比較できます。
撤去工事・行政手続きで抑えられる余地
撤去工事費は、㎡単価8万円〜15万円が基準です(城戸石材加工所ほか石材店公表価格)。面積と立地で決まるため、供養先ほど選ぶ余地はありません。それでも、重機が入るか、斜面や階段があるか。同じ条件を複数の石材店に伝えて相見積もりを取れば、実勢に近い価格は見えてきます。公営墓地では指定業者がなく自由に選べる例(実査31件中10件で公式に明記)があり、民営霊園・寺院墓地は指定業者制のところが少なくありません。比較できる墓地かどうかを、見積もりの前に管理者へ確認しておくと無駄がありません。
行政手続きの手数料は、そもそも無料〜数百円の世界です。実査した149自治体では、無料が44件、有料が9件(300〜600円)でした。ここを削っても効果は知れています。自治体ごとの金額は改葬許可証の手数料で、お住まいの自治体の窓口・必要書類は改葬許可(自治体別)データベースで確認できます。むしろ気にしておきたいのが、古いお墓の場合の洗骨・乾燥・殺菌費で、1体あたり2万円〜3万円が別途発生しやすくなります(永代供養ナビ・こころ)。事前に読みにくい項目なので、石材店の現地確認のときに遺骨の状態もあわせて見てもらうと、見積もりと請求額のずれが小さくなります。
補助金・使用料の還付・分割払いの現状
補助金: あるのは「市営墓地の使用者限定」の制度だけ
「自治体の補助金は使えないのか」。よくいただく質問です。全国どこでも受けられる補助金はありません。当サイトが自治体公式サイトで確認できたのは、群馬県太田市(市営の八王子山公園墓地の墓石撤去費を上限20万円で助成)と千葉県浦安市(市営墓地の原状回復費を上限15万円で助成)などで、いずれも「その市の市営墓地の使用者」だけが対象です。寺院墓地・民営霊園からの墓じまいには使えません。横浜市のように、公式サイトで「補助金制度はありません」と明言している自治体もあります。制度の型と注意点は補助金の記事で分けて整理しています。
使用料の還付: 公営墓地に「返還時に戻る」制度がある
補助金と混同されやすいのが、公営墓地の使用料の還付です。当サイトが条例・規則を実査した31運営者のうち、条件つきで還付制度を確認できたのは17件、条例で「還付しない」と定めているのを確認できたのは9件、公式に記載が見当たらなかったのは5件。使用許可から3年以内・5年以内なら使用料の半額、という条件が多く、墓石を建てて長年使ってきたお墓では対象外になるのが一般的です。
ローン・分割払い: 全国共通の制度は確認できていない
墓じまい費用そのものを対象にした全国共通のローン商品や分割制度は、当サイトが一次情報として確認できた範囲では見つかっていません。石材店や霊園が個別に分割払いに応じている例はありますが、統一的なデータとして確認できているものではありません。依頼先に直接聞くのが早道です。分からない部分を推測で埋めることはせず、正直に「要確認」としてお伝えします。
離檀料の負担について
離檀料は、寺院墓地の場合にだけ発生します。民営霊園・公営霊園では発生しません。決まった「相場」は存在しないため、当サイトでは金額を断定しません。支払った方の実態としては、5万円未満が19.0%、5〜10万円が23.8%で最多、20〜30万円が21.4%という分布が報告されています(墓じまいパートナーズ2026年調査、支払経験者n=42)。
寺院の側にも、檀家減少や護持費といった事情があります。金額を一方的に下げてもらおうとするのではなく、これまでのお付き合いの経緯を踏まえて、事情を率直に相談してみる。そうした進め方があります。なお当サイトでは、個別の交渉方法や書類作成についての助言は行っておりません。
誰が払うかを家族で分ける
費用の負担者を直接定めた法律の条文はありません。民法897条が定めているのはお墓(祭祀財産)を誰が承継するかで、費用の負担ではありません。実務ではお墓を承継した人が負担する形が多いものの、兄弟姉妹で分担する家庭もあります。一人で抱え込む前に、分担の考え方を誰が払うかの記事で確認してみてください。情報集めを家族で分担するだけでも、負担はずいぶん軽くなります。
よくある質問
回答中の自治体数・公営墓地の件数は、当サイトが公式サイト・条例を実査した149自治体と公営墓地31運営者のデータからの集計です。調査データはすべて参照元に出典URLを載せています。
墓じまいの費用が払えないときは、どうすればよいですか?
まず、急いで結論を出さないことです。「する・しない・様子見」は同じ重さの選択肢で、費用の不安が大きいなら様子見も間違いではありません。進める場合は、総額を最も動かす「新しい供養先」から見直します。合祀墓は1体3万円から、海洋散骨(委託)は1体2万円から、手元供養のミニ骨壷は5千円からという目安があり、一般墓へ引っ越す場合(平均152.0万円・鎌倉新書2026年調査)と比べて100万円以上の差になります。撤去工事費は同じ条件で複数の石材店に見積もりを取ると比較できます。
墓じまいの費用に補助金は使えますか?
全国どこでも使える補助金はありません。当サイトが自治体公式サイトで確認できたのは、群馬県太田市(市営墓地の墓石撤去費を上限20万円で助成)と千葉県浦安市(市営墓地の原状回復費を上限15万円で助成)などで、いずれも「その市の市営墓地の使用者」だけが対象です。寺院墓地・民営霊園からの墓じまいは対象外です。横浜市のように公式サイトで「補助金制度はありません」と明言している自治体もあります。
墓じまいの費用は分割払いやローンにできますか?
墓じまい費用そのものを対象にした全国共通のローン商品や分割制度は、当サイトが一次情報として確認できた範囲では見つかっていません。石材店や霊園が個別に分割払いに応じている例はありますが、統一的なデータとして確認できているものではないため、依頼先に直接確認するのが早道です。分からない部分を推測で埋めることはせず、「要確認」としてお伝えします。
公営墓地を返すと使用料は戻ってきますか?
墓地ごとに違います。当サイトが条例・規則を実査した公営墓地31運営者のうち、条件つきで還付制度を確認できたのは17件、条例で「還付しない」と定めているのを確認できたのは9件、公式に記載が見当たらなかったのは5件でした。使用許可から3年以内・5年以内なら使用料の半額、という条件が多く、長年使ってきたお墓は対象外になるのが一般的です。補助金とは別の制度です。
改葬許可証の手数料を節約する方法はありますか?
節約の余地はほぼありません。当サイトが自治体公式サイトを実査した149自治体のうち、「無料」と明記していたのは44件、有料は9件で300〜600円でした。総額に占める割合はごくわずかです。
次の一歩:組み合わせを試算してみる
不安があるなら、まず費用シミュレーターで、供養先を変えたときに総額がどう動くかを見てみてください。合祀墓、海洋散骨(委託)、手元供養。費用を抑えやすい選択肢を並べて試算すると、どの組み合わせが予算に届きそうかが具体的に見えてきます。「改葬」と「墓じまい」の言葉の違いから確かめたい方は改葬とはからどうぞ。
結論は今日でなくて構いません。選択肢を知るところまでで、いったん十分です。そのうえで必要であれば、家族との話し合いや、寺院・霊園・自治体窓口への相談に進んでください。
供養先の次に金額が動く墓石撤去費は、複数の石材店の見積もりを比べることで下がる余地があります。一括見積もりサービスを使う手もあります(以下は広告リンクです)。
全国の優良石材店から一括見積りが無料で出来る【墓石ナビ】比べられるもの: 複数の石材店から届く墓石撤去の見積もり(金額と内訳)を、同じ条件で並べて比較できます費用: 見積もりの依頼は無料です。依頼した石材店と契約する義務はありません依頼後に起きること: 入力した電話番号・メールアドレスに確認の連絡が入ります。この連絡に応じてはじめて見積もりが進みます無料で見積もりを依頼する(確認の連絡あり)外部サイト(墓石ナビ)に移動します。
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参照元
- 鎌倉新書 第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年1月16日〜23日、n=733)〔2026年9月2日〕
- 鎌倉新書 第17回お墓の消費者全国実態調査(2026年, n=1,267)〔2026年7月14日〕
- お墓ガイド(合祀墓の費用相場)〔2026年7月14日〕
- お墓さがし(合祀墓の費用相場)〔2026年7月14日〕
- 森の庵(海洋散骨の費用相場)〔2026年7月14日〕
- Admire Garden(手元供養の費用の目安)〔2026年7月14日〕
- ウーナ(粉骨費の目安)〔2026年7月14日〕
- 城戸石材加工所 公表価格(撤去工事費・面積別目安)〔2026年7月14日〕
- 永代供養ナビ(洗骨・乾燥費の目安)〔2026年7月14日〕
- 墓じまいパートナーズ 墓じまい実態調査2026(離檀料支払経験者n=42)〔2026年7月14日〕
- 太田市 八王子山公園墓地墓石撤去費用助成金〔2026年8月6日〕
- 浦安市 墓所返還者等支援事業〔2026年8月6日〕
- 横浜市 「横浜市には墓じまいに関する補助金制度はありません」〔2026年8月6日〕
- 明石市 石ケ谷墓園 合葬式墓地(返還と同時申込みによる使用料免除)〔2026年8月23日〕

執筆・編集
大久保亮佑株式会社Kogera代表
生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)
墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。