分骨証明書は火葬場か墓地の管理者が発行する|後からの発行と自治体10件の窓口・手数料
執筆・編集: 大久保亮佑(株式会社Kogera代表/生前整理アドバイザー2級)
更新日: 2026年10月1日
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きょうだいは遠くで暮らしている。実家のお墓は自分が守るけれど、妹にも遺骨の一部を持っていてほしい。そう考えたとき、最初につまずくのが「何をどこでもらえばいいのか」です。市役所に電話するのか、お墓のお寺に頼むのか。見当がつかないまま、検索窓に「分骨証明書」と打つ人は少なくありません。
分骨証明書は、市区町村が出すものと決まっているわけではありません。墓地、埋葬等に関する法律施行規則の第5条は、証明書を交付する義務を「墓地等の管理者」と火葬場の管理者に課しています。当サイトが公式ページを開いて確認した10の自治体では、手数料は無料か300円で、窓口は自治体の担当課だったり、火葬場や寺院だったりしました。
この記事の要点(遺骨のいまの状態で、発行する人が変わる)
| 遺骨のいまの状態 | 発行する人 |
|---|---|
| 火葬のときに分ける | 火葬場の管理者(市営の火葬場なら自治体の担当課) |
| お墓・納骨堂に納めた遺骨を分ける | いま遺骨がある墓地・納骨堂の管理者(公営なら自治体、寺院墓地なら寺院) |
| 火葬後、自宅に置いている遺骨を分ける | 火葬した斎場の管理者(伊達市・玉野市・下関市の案内) |
結論:発行するのは管理者。市区町村とは限らない
分骨証明書を出すのは、遺骨がいまある場所の管理者です。火葬のときなら火葬場、お墓や納骨堂に納めたあとなら墓地・納骨堂。公営の火葬場や墓地であれば、その管理者がそのまま自治体なので、結果として市区町村の担当課が窓口になります。寺院墓地なら住職、民営霊園なら管理事務所です。
玉野市は「分骨証明書の請求は、火葬場管理者もしくは墓地等の管理者へします」と書いています(2026年10月1日確認)。伊達市も、火葬場管理者か墓地等の管理者へ申請するとしており、そのうえで、市役所で交付できるのは市の斎場で火葬した場合など限られた場合だけ、それ以外の個人墓地などは市役所では交付できない、と添えています。
施行規則第5条は何を定めているか
「分骨証明書」という名前は、法令には出てきません。根拠は墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第5条です(2026年9月26日確認)。
第1項は、墓地等の管理者に対し、他の墓地等に焼骨の分骨を埋蔵し、またはその収蔵を委託しようとする者から請求があったときは、その焼骨の埋蔵または収蔵の事実を証する書類を交付しなければならないと定めています。第2項は受け取る側の義務で、分骨を埋蔵し、または収蔵を委託しようとする者は、墓地等の管理者にその書類を提出しなければならない。第3項で、この2つの規定は火葬場の管理者にも準用されます。
まとめれば、条文が決めているのは「請求されたら管理者は証明書を出す」ことと「納骨先の管理者にそれを出す」ことの2点です。市区町村長の許可という仕組みは、分骨には置かれていません。ここに引いた範囲に、書式や手数料の定めはありません。塩尻市は「分骨証明書は任意の様式」と案内していますし、次の表のとおり、窓口も手数料も自治体ごとに違っていました。
条文の趣旨や、分骨と改葬の違いは分骨の手続きに整理しています。この記事は、証明書そのものに絞ります。
自治体10件の窓口・手数料・郵送可否
2026年10月1日に各自治体の公式ページを開いて確認した内容です。「記載なし」は、公式ページに書かれていなかったという意味で、当サイトの推測では埋めていません。窓口は、その自治体が管理する火葬場・墓地の分についての案内です。寺院や民営の墓地に納めた遺骨は、この表の対象外になります。
| 自治体 | 窓口(発行する人) | 手数料 | 郵送 | 公式ページの更新日 |
|---|---|---|---|---|
| 横浜市 | 市の斎場(火葬当日の収骨時までに申し出) | 300円(1枚につき) | 記載なし | 2025年6月17日 |
| 京都市(市営墓地) | 保健福祉局医療衛生推進室 医療衛生企画課 管理担当 | 記載なし | 書類送付先を案内。オンライン申請も可 | 2026年2月3日 |
| 大阪市旭区 | 分骨をした火葬場または寺院(役所では発行できない) | 記載なし | 記載なし | 更新日の記載なし |
| 塩尻市 | 生活環境課(斎場利用者・東山霊園使用者)。共同墓地・寺院は管理者、個人墓地は管理者本人が作成 | 記載なし | 記載なし | 2022年6月1日 |
| 袋井市・森町 | 袋井市森町広域行政組合 事務局総務課(中遠聖苑で火葬した分) | 無料 | 申請の郵送は記載なし。閉庁日は証明書を後日郵送 | 2024年10月16日 |
| 伊達市 | 生活環境課(堀舘山墓地は月舘総合支所) | 300円 | 可(返信用封筒を同封) | 2024年10月1日 |
| 八尾市 | 環境施設課(市役所本庁・出張所では交付できない) | 300円 | 可(返信用封筒と定額小為替を同封) | 2025年2月28日 |
| 玉野市 | 市民課(市斎場で火葬した分・市霊園に納骨した分) | 記載なし | 記載なし | 2026年9月24日 |
| 下関市 | 市営墓地の分は生活安全課、納骨前の分は火葬した斎場の担当課 | 300円 | 記載なし | 2024年8月1日 |
| 広島市 | 火葬のときは火葬場の窓口、納骨済みなら墓地・納骨堂の管理者 | 記載なし | 記載なし | 2026年2月24日 |
手数料が書かれていたのは5件。無料が1件(袋井市・森町広域行政組合)、300円が4件(横浜市・伊達市・八尾市・下関市)でした。残る5件は金額の記載が見つかっていません。件数が少なく、「相場は300円」と言い切れる数ではありません。
郵送での手続きを案内していたのは3件です。伊達市は返信用封筒の同封、八尾市は返信用封筒と証明書1通につき300円分の定額小為替の同封を求めています。京都市は、市営墓地の分骨証明について書類の送付先を示し、オンライン申請の入口も用意していました。
横浜市の斎場、広島市の火葬場窓口、塩尻市の共同墓地・寺院・個人墓地の扱いなど、窓口の置き方は自治体ごとにずいぶん違います。名古屋市・神戸市・福岡市・札幌市などの大都市は、今回の確認には含めていません。
火葬のあとから発行できるか
「後から」と一口にいっても、場面が2つあります。火葬は済んだが納骨はまだ(自宅に遺骨がある)という場面と、すでにお墓に納めたものを分けたいという場面です。
前者は、火葬場の運用で結論が割れます。横浜市は、分骨は火葬当日の収骨時までに限り可能で、当日に分骨しなかった場合は、後日斎場で分骨証明書を発行することはできないと案内しています。一方、袋井市・森町広域行政組合は、火葬中でも火葬後でも申し出ができるとして、証明書は火葬終了後か後日、組合の事務局で発行を受けるとしています。持ち物は、裏面に火葬済みの証明がある埋火葬許可証です。
伊達市・玉野市・下関市は、火葬後に自宅などで保管している遺骨を納骨のときに分ける場合も、市の窓口で扱うと案内しています。八尾市は市立斎場で火葬した分に限り、火葬当日なら斎場で当日交付、そのあとは環境施設課の窓口です。下関市は、納骨したことがない遺骨なら、火葬した斎場を管理する担当部署が窓口で、原則として当時の火葬の申請者からの申請になります。申請者が亡くなっているときは誓約書が要るとも書かれています。
後者、納骨済みの遺骨を分ける場合は、いま納められている墓地・納骨堂の管理者に頼みます。下関市の案内では、市営墓地以外なら管理者に、市営墓地なら生活安全課に申請し、原則として墓地の使用者(名義人)からでないと受け付けられません。火葬の当日を過ぎてしまっていても、納めた先の管理者に頼む道は残っています。
こうした違いがあるので、火葬の日が近いなら、収骨の前に斎場へ「分骨したい」と伝えておくのが無難です。広島市のFAQも、分骨して納骨する予定があるなら、火葬の際に火葬場の窓口へ申し出るよう案内しています。
申請書・必要書類と、紛失したとき
京都市の市営墓地では、「分骨証明申請書兼証明書」という1枚の様式を使い、墓地使用者以外の方が申請者になる場合は、墓地使用者の承諾書もあわせて提出します(2026年10月1日確認)。
伊達市の必要書類は、分骨証明書交付申請書、死体埋・火葬許可証の写し、斎場利用許可証の写し、同意書の4点です。同意書が要るのは申請者と遺骨の所有者が異なる場合で、市の斎場で分骨するときは不要とされています。窓口は即日交付ではなく、交付まで3日(閉庁日を除く)程度の見込みと書かれていました。玉野市は証明書の発行に提出から1週間ほど、塩尻市は1〜2日かかります。当日に必要な場合は、その分の余裕を見て依頼してください。
塩尻市の案内で印象に残るのは、墓地の管理者が個人のとき、その本人が分骨証明書を自分で作成するとしている点です。共同墓地・寺院なら、使っている墓地の管理者に発行してもらいます。証明書の様式が任意というのは、そういう場面の話です。
紛失したときの扱いは、今回確認した範囲では大阪市旭区の案内だけでした。再発行を希望する場合は、分骨をした火葬場か寺院に問い合わせるというものです。ほかの自治体の再発行の可否と手数料は、公式ページに書かれていなかったので、発行元に直接たずねてください。
墓じまい(改葬)と同時に分骨するとき
墓じまいで遺骨の大半を新しい供養先へ移し、一部だけ手元に残したい。このときは書類が2系統に分かれます。広島市のFAQは、本骨を移動させない限り分骨に改葬の手続きは要らないと書いています。逆にいえば、本骨を動かす部分は改葬で、いまお墓がある市区町村長の許可が必要です。
分けた分骨を、のちにさらに別の墓地へ移すときは、広島市の案内では、いま分骨が納められている墓地・納骨堂の管理者が交付する埋蔵証明書または収蔵証明書が必要になります。受入側と埋蔵側の証明書の違いは受入証明書と埋蔵証明書の違いで見られます。
よくある質問
分骨証明書はどこでもらえますか?
火葬のときに分けるなら火葬場、すでに納めた遺骨を後から分けるなら、いま遺骨がある墓地・納骨堂の管理者です。広島市のFAQは、火葬の際は火葬場の窓口に申し出て交付を受けること、納骨済みの遺骨なら墓地・納骨堂の管理者に申し出ることと案内しています。公営の火葬場や墓地であれば、その管理者が自治体なので、窓口は市区町村の担当課になります。
分骨証明書は市役所でもらえますか?
自治体によります。伊達市・八尾市・玉野市・下関市のように、自治体が管理する火葬場や墓地の分を市の窓口で交付するところがある一方、大阪市旭区は「役所では分骨証明は発行できない」とし、分骨をした火葬場か寺院で取得するよう案内しています。八尾市でも市役所本庁・出張所では交付せず、環境施設課が窓口です。まず遺骨がいまどこにあるか、火葬した火葬場はどこかを確かめるのが先です。
火葬が終わったあとでも、分骨証明書は発行してもらえますか?
自治体の運用で分かれます。横浜市は、分骨は火葬当日の収骨時までに限り可能で、当日に分骨しなかった場合は後日、斎場で分骨証明書を発行できないと案内しています。袋井市・森町広域行政組合は、火葬中でも火葬後でも申し出ができ、火葬終了後または後日に発行を受けられるとしています。八尾市は当日なら斎場で交付、後日は環境施設課の窓口です。火葬場が市の施設なら、その市の案内を先に読んでください。
分骨証明書の手数料はいくらですか?
当サイトが公式ページを確認した10の自治体のうち、金額が書かれていたのは5件で、袋井市・森町広域行政組合が無料、横浜市・伊達市・八尾市・下関市が300円でした。残る5件は手数料の記載が見つかっていません。寺院・民営の墓地は、管理者が決めます。
分骨証明書は郵送で申請できますか?
伊達市は返信用封筒の同封、八尾市は返信用封筒と300円分の定額小為替の同封で、郵送での手続きを案内しています。京都市(市営墓地)は書類の送付先を示し、オンライン申請の手続きも用意しています。郵送の可否が書かれていない自治体も多いので、遠方の場合は担当課への事前の問い合わせが確実です。
分骨証明書を紛失したら、どうすればいいですか?
大阪市旭区の案内では、再発行を希望するときは分骨をした火葬場か寺院に問い合わせるとされています。ほかの自治体の再発行の扱いは、今回確認した公式ページには書かれていませんでした。発行元に連絡して、再発行の可否を確かめてください。
分骨証明書は何枚必要ですか?
袋井市・森町広域行政組合は、分骨証明書は分けた遺骨の数だけ必要になるとしています。遺骨を何か所に分けるかが決まっているなら、申し出のときに伝えておくと、あとで取り直さずに済みます。
次の一歩:遺骨がいまある場所の管理者に聞く
最初に連絡する相手は、たいてい市区町村ではありません。いま遺骨が納められている墓地・納骨堂、または火葬を行った火葬場です。分骨したいこと、何か所に分けるか、証明書の費用と日数を、そこで聞いてください。
墓じまいと並行して進めるなら、改葬側の窓口・必要書類・手数料は改葬許可(自治体別)に、分骨と改葬の違いは分骨の手続きにまとめています。
書類が整ったあとに動くのは、墓石の撤去です。費用の中で最も金額が動く部分なので、複数の石材店の見積もりを比べることで下がる余地があります。一括見積もりサービスを使う手もあります(以下は広告リンクです)。
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参照元
- 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)第5条〔2026年9月26日〕
- 横浜市 斎場関係様式ダウンロード(分骨証明書 1枚300円、当日の収骨時まで)〔2026年10月1日〕
- 京都市 市営墓地における各種申請・届出について(分骨証明)〔2026年10月1日〕
- 大阪市旭区 改葬許可書の申請方法について(Q8 分骨証明が欲しいのですが)〔2026年10月1日〕
- 塩尻市 分骨(ご遺骨の一部の移動)の手続きについて〔2026年10月1日(ページの更新日は2022年6月1日)〕
- 袋井市・森町広域行政組合 分骨証明について(無料)〔2026年10月1日(ページの更新日は2024年10月16日)〕
- 伊達市 分骨証明書について〔2026年10月1日(ページの更新日は2024年10月1日)〕
- 八尾市 分骨証明書〔2026年10月1日(ページの更新日は令和7年2月28日)〕
- 玉野市 分骨するとき〔2026年10月1日(ページの更新日は2026年9月24日)〕
- 下関市 納骨・分骨・改葬について(分骨証明書の手数料300円)〔2026年10月1日(ページの更新日は2024年8月1日)〕
- 広島市 墓地への納骨や改葬、分骨の手続き(FAQ)〔2026年10月1日(ページの更新日は2026年2月24日)〕

執筆・編集
大久保亮佑株式会社Kogera代表
生前整理アドバイザー2級(一般社団法人生前整理普及協会、2026年5月取得)
墓じまい・改葬の費用と手続きを、自治体・省庁の一次情報や公的統計にあたって整理しています。掲載内容の企画・データ調査・編集の最終責任を負っています。